2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of surface plasmon chromics based on oxide semiconductors
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18H01468
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松井 裕章 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (80397752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池羽田 晶文 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, ユニット長 (40342745)
J・J Delaunay 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (80376516)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 表面プラズモン / 酸化物半導体 / 赤外 / ナノ粒子 / 固液界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、酸化物半導体ナノ粒子への不純物ドーピングの最適化やナノ粒子薄膜の形成、及びその光学的性質を明らかにした。酸化物半導体ナノ粒子はIn2O3:Sn(ITO)ナノ粒子に着目した。高温有機分解合成(ホットコロイド)法を適用し、高い電子濃度(1021 cm-3以上)を持つITOナノ粒子の合成によって近赤外域で強い表面プラズモン励起に成功した。更に、ドロップ・スピンコーティング法を用いてITOナノ粒子薄膜を作製した結果、近赤外から中赤外域で60%を超える高い反射性能を実現させた。ナノ粒子薄膜の構造解析は、小角X線散乱(SAXS)、走査型・透過型電子顕微鏡(SEM・TEM)を用いて解析され、薄膜試料内のナノ粒子が細密充填構造を有することを確認した。ITOナノ粒子薄膜の光学特性は、3次元有限差分時間領域(FDTD)法を用いて理論的に解析された。ITOナノ粒子薄膜は近赤外と中赤外域に選択的に共鳴反射ピークを示す。近赤外域の共鳴反射は、ナノ粒子間の面直方向の電場相互作用が重要な役割を果たし、一方、中赤外域の共鳴反射は、ナノ粒子間の面内方向の電場相互作用が寄与することを明らかにした。ナノ粒子間の電場相互作用の重要性は、粒子間距離を系統的に制御することで確認した。粒子間距離の制御は、ナノ粒子薄膜試料への機械的な引張歪みの導入によって実現させた。更に、ナノ粒子のサイズ効果や表面修飾に利用した有機リガンド分子の選択調査も併せて推進した。故に、本年度においては、ナノ粒子合成の最適化及びナノ粒子薄膜からの光学特性の解明を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は研究実績の概要から順調に進展している。特に、高品質な酸化物半導体(ITO)ナノ粒子の合成が重要な進歩であり、良質な光学的性質を持つITOナノ粒子薄膜の作製に成功したポイントである。また粒子径の制御や粒子表面への有機リガンド分子の選択は、ナノ粒子薄膜の光学増強に同様に繋がる実験となった。また、FDTD法を用いた3次電磁界計算による理論的考察と実験結果の相補性も確認され、ITOナノ粒子薄膜の光学特性のメカニズムの解明に寄与した。それは、今後の更なる光学特性の向上に向けた重要な指針となる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、酸化物半導体ナノ粒子内の化学的ドーピング(不純物添加)による電子濃度制御を実施する。特に、ナノ粒子内の電子濃度の相違が表面プラズモン励起に与える影響を検討する。中でも、電子濃度は近赤外から中赤外域の反射強度や共鳴ピークとの関係を明らかにする。ただし、電子濃度の制御範囲は1019 cm-3から1021 cm-3程度とする。一方、光励起ドーピングによるナノ粒子内の電子濃度制御を行うフォトドーピングを行う。光励起による電子ドーピングは、不純物元素を用いた化学ドーピングとの対比実験となる。フォトドーピングは、ナノ粒子と溶媒間の電荷移動に基づく。紫外線照射に伴い、伝導帯に電子キャリアを蓄積させてナノ粒子を金属化させることで表面プラズモン励起を発現させる手法となる。この手法は、化学ドーピングと異なり、ナノ粒子全体に電子キャリア注入が可能であり、表面プラズモン励起の電子キャリア制御の動的過程を評価することが可能である。紫外線(351 nm, 100 mW)を用い、光照射時間や強度変化に対するプラズモンの励起強度や共鳴波長シフトを評価する。ナノ粒子内の電子濃度は、Mie理論に基づいて同定する。
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Research Products
(11 results)