2018 Fiscal Year Annual Research Report
ハフニア系強誘電トンネル接合による人工シナプスの実現に向けた素子技術基盤の構築
Project/Area Number |
18H01484
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
澤 彰仁 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 副研究部門長 (10357171)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 電子・電気材料 / 表面・界面物性 / トンネル接合 |
Outline of Annual Research Achievements |
HfO2系強誘電体をバリア層とする強誘電トンネル接合(FTJ)を作製するため、平坦な表面を有し、膜厚が均一で、ピンホールフリーのHfO2系強誘電体の超薄膜(膜厚 < 10 nm)を下部電極上に作製する技術開発を行った。室温で製膜したITO酸化物金属のアモルファス薄膜の上にアモルファスYドープHfO2薄膜を作製し、真空中でポストアニールすることにより、平坦な表面を有し、膜厚均一性の優れた強誘電性を示すYドープHfO2系超薄膜を作製することに成功した。X線回折及び過電子顕微鏡、電子線回折の実験から、膜厚均一性の優れ、強誘電性を示すYドープHfO2薄膜の成長は、室温で形成したアモルファスITO薄膜中に含まれる水分により、アニール中にITO薄膜が結晶化する際に還元されて格子定数が大きくなり、HfO2との格子整合性がよくなったことで、斜方晶のHfO2薄膜がITO薄膜上に疑似コヒーレント成長したことに起因することを明らかにした。抵抗変化メモリ効果を示すFTJの作製と、その動作特性の制御に向け、YドープHfO2バリア層と金属上部電極の間にAl2O3、Ta2O5などの常誘電体の超薄膜(膜厚~1 nm)を挿入した素子の開発を行った。界面に常誘電体層を挿入していない素子では非線形の電流-電圧特性が観測されたが、明確な抵抗変化メモリ現象は観測されなかった。一方、Al2O3の超薄膜を挿入した素子では、電流-電圧特性にヒステリシスが観測され、界面常誘電体層の挿入が抵抗変化メモリ現象を誘起するのに有効である可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HfO2系強誘電体をバリア層とするFTJ作製に不可欠な、平坦な表面を有し、膜厚均一性の優れた強誘電性を示すYドープHfO2薄膜を作製する技術を開発するとともに、界面常誘電体層の挿入がFTJに抵抗変化メモリ効果を誘起するのに有効である可能性を見出し、本研究の目標の一つであるHfO2-FTJによる人工シナプス特性の実現に向けて進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、界面常誘電体層の挿入とその膜厚制御が、HfO2系FTJの素子特性制御に有効であることを検証する。また、本研究の目標であるスパイク時刻依存シナプス可塑性(STDP)の実証に向けて、強誘電トンネル素子用のSTDP測定系を構築する。強誘電トンネル接合は従来型の抵抗スイッチング素子に比べ高抵抗であるため、微細化した素子では電流値が小さくなることから、特に高抵抗状態の抵抗値を測定する際にはSN比の向上が不可欠である。そのため、高抵抗のFTJでもSTDP特性を測定できるよう回路の改良と測定手法の工夫を行う。
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