2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of adoptive nonlinear myoelectric signal detection technique for user-friendly man-machine interface
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18H01487
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
葛西 誠也 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (30312383)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 筋電検出 / 非線形 / 感覚フィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
筋肉が発する筋電位からユーザの動きや意図を検知し機器に伝える筋電型マン・マシンインターフェース(MMI)は、電動義手やロボットなどの直感的操作を可能にする。しかし実際には信号の誤検出が多く、思い通りに操作することは非常に難しい。本研究は、誰もが日常生活で容易に使える筋電型MMIを目指し、独自の非線形筋電検出手法をベースにユーザや環境に適応する技術を開拓し、筋電検出精度の大幅向上を図ることを目的とする。さらに感覚フィードバック機構を省電力でコンパクトに実装する技術を開発し、筋電検出デバイスと一体化を図り操作性をより高める。2019年度の研究成果は以下の通りである。 (1)人工感覚フィードバックの表現力向上のため、複数の小型偏心モーター振動子の合成による振動多様化を試み、うねりを使い単一振動子では不可能な低周波振動の生成およびトロコイド空間パターンの生成を可能にした。また、振動特性が装置固定圧やまさつなどの装着条件に依存することがわかった。 (2)2振動子合成のうねり周波数の下限が位相同期によって数十Hzに制限されることがわかった。振動子支持基板の構造や振動子の身体固定法と同期の関係を調べ、位相同期を抑制する基板設計および装着要件を見出した。その結果10 Hzレベルの超低周波振動の生成が可能になった。 (3)表面筋電信号から最適動作を推定するために最適化計算の適用を検討し、その一環として独自の最適化計算システム「電子アメーバ」を4足歩行ロボットに搭載し運足推定とその精度向上を試みた。本ロボットは各足の接地情報と少数の動作制約から適切な運足を推定するが、身体姿勢をセンシングし情報追加することで運足推定精度向上が可能になった。 (4)レザバー計算を応用した表面筋電信号解析のため、システム要素となる入力、レザバー、出力の各層の実現に取り組み、基本要素を揃えてシステム構成の準備が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小型振動子集積による感覚フィードバック機構を構成し、計画していた低周波振動の生成に成功した。また合成振動空間パターンに関する理解と制御が進んだ。同時に、これら振動特性は振動子装着時の諸条件に依存することが明らかになり、研究開発技術の実用化には装着条件の依存度を抑え振動特性の再現性を高める方法の開発が課題となることがわかった。 一方、センシングした表面筋電信号からユーザー想定動作の推定精度向上手法として最適化計算に加えリザバー計算が加わりバリエーションが増えたことは計画以上の進展である。本年度はいずれもに信号解析に応用するための準備が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
ユーザーが意図する動作を筋電信号から読出す精度のさらなる向上策として、人工知能の一種であるレザバー計算システムを導入しその推論能力を応用する。人体の動きは複数の筋肉の動きを複合して得られることから、身体の複数箇所から筋電信号を取得してレザバー出力とみなし、これらを重み付け線形結合することでユーザーが意図する動作を推定する。本システムの実現には、これまでに研究開発してきたカーボンナノチューブ複合紙多重表面電極を活用できる。昨年度構築したマイコン実装レザバー出力学習系と結合することでシステム化する。 本研究の総括として、マン・マシンインターフェースの操作感を「思い通り」に近づける技術実現のため、これまでの研究開発で得られた非線形筋電検出技術、筋電信号解析技術、振動子集積人工感覚フィードバック技術を融合しシステム化する。誰でも使いやすいことを狙いとしてこれら要素技術を物理的に一体化するにあたり、小型・軽量・低消費電力化とあわせて容易に着脱できる装着方法を見出す。これまでの研究を通して非常に重要なポイントは、装着毎の筋電検出感度と生成される人工感覚の再現性の確保が極めて重要であることがわかっている。装着圧力などの装着状態モニタリングとフィードバックにより再現性の確保を狙う。
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