2019 Fiscal Year Annual Research Report
Exploration on ultralow power system enabled by CMOS-compatible ferroelectric devices
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18H01489
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 正治 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (40740147)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 強誘電体 / HfO2 / メモリ / トランジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
①強誘電体トランジスタにおいて急峻なサブスレショルド特性が得られる物理メカニズムについて、分極反転のダイナミクスを考慮したモデルを提案し、また実験的に検証することに成功した。このモデルは渡連電流の伝達特性におけるサブスレショルド特性だけでなく、出力特性における負性コンダクタンスも説明ができる包括的な枠組みである。 ②強誘電体HfO2をゲート絶縁膜、IGZOをチャネルとする3次元積層型トランジスタを提案し、その設計とプロトタイプによる動作実証に成功した。IGZOをチャネルとすることで強誘電体HfO2との間に低誘電率な界面層が生じず、電荷トラップによる信頼性劣化が抑えられるとともに、界面層での電圧損失を抑えて、低電圧動作が可能になる。またIGZOをHfO2のキャッピング材料として用いることで、効率的に強誘電性を引き出すことができることもわかった。 ③第一原理計算を用いた強誘電体HfO2デバイスの設計に向けて、今回、HfO2が強誘電性を示す物理的起源を明らかにするために、従来の熱力学的平衡状態におけるエネルギーを用いるだけでなく、第一原理分子動力学法およびフォノンのバンド計算を用いる手法を導入した。これまでにHfO2への酸素空孔・ドーパントによる結晶の自由エネルギーの変化を系統的に調べるとともに、有限のサイズのグレインを想定して結晶の各相の表面エネルギーを計算し、高温で正方晶が形成され、低温へ急冷される際に正方晶が強誘電性の斜方晶に転移することを熱力学的エネルギーの点で示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強誘電体トランジスタのデバイスモデルは分極反転のダイナミクスや電荷トラップを含んでいることが特に重要視されており、そのため従来のモデルを用いた設計による回路の試作は延期し、今回はモデルの見直しを行った。 提案当初はなかった強誘電体トランジスタの3次元積層型という新しいアイディアが生まれ、今年度はその重要性を考えて急遽重点的に研究を進めることにした。 第一原理計算については、担当する研究者が昨年9月にようやく決まり、これまでの遅れを取り戻すよう急いで計算技術の確立と研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
強誘電体HfO2に関する研究の進展が世界的に早く、研究提案当初とは重要な技術や応用が変わってきている。当初の計画に固執するのでなく、柔軟に対応することが必要と考える。 強誘電体トランジスタに関しては、高信頼性への注目が高く、電荷トラップの影響をより詳細に調査する必要がある。また実績・進捗状況で述べた3次元積層型強誘電体トランジスタはフラッシュメモリと競合しうることから注目を集めていることからも研究を続けたい。 第一原理計算については現在、インフラおよび計算技術がほぼ立ち上がっているため、今年中に強誘電性の起源と信頼性劣化メカニズムに関する物理を明らかにする。
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