2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on programmable adiabatic superconductor circuits using magnetic Josephson junctions
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18H01493
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
竹内 尚輝 横浜国立大学, 先端科学高等研究院, 特任教員(准教授) (00746472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 太郎 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (60567254)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 超伝導回路 / ジョセフソン接合 / 磁性体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は当初の計画通り、(1)磁性ジョセフソン接合(π接合)と通常のジョセフソン接合の集積化と、(2)π接合を含む断熱磁束量子パラメトロン(AQFP)回路の設計と作製に取り組んだ。 (1)に関しては、ジョセフソン接合とπ接合を同一基板上に集積化するプロセスを考案し、両接合を含んだ超伝導量子干渉計(SQUID)素子を作製した。SQUID素子における臨界電流の磁場依存性を測定した結果、ジョセフソン接合のみで構成される通常のSQUID素子と比較して、半磁束量子(位相でπに相当)のシフトが観測され、π接合が明確に位相シフト素子として機能していることが実証された。さらに、より大規模なAQFP回路へのπ接合集積化も見据え、産業技術総合研究所のファウンドリプロセスCRAVITYにより作製された超伝導回路(ジョセフソン接合のみを含む)上に、π接合を集積するプロセスを検討しSQUID素子を試作した。その結果、この素子においても明瞭な位相シフトが確認され、π接合-AQFP回路の技術基盤が構築された。 (2)に関しては、これまでに確立したシミュレーション及び設計方法を用いて、π接合を用いたプログラマブルAQFP回路(AND/OR切り替えゲート、2入力ルックアップ・テーブル)の設計及びシミュレーションを行い、同回路のマスクレイアウトを作成した。また、CRAVITYを用いて同回路のチップ(ジョセフソン接合のみを含む)を試作し、本チップ上へのπ接合作製の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた検討項目である、(1)π接合とジョセフソン接合の集積化と、(2)π接合を含むAQFP回路の設計と作製、はどちらもおおむね順調に進展した。(1)に関しては、ジョセフソン接合とπ接合を同一基板上に集積する方法と、産総研のファウンドリで作製した超伝導回路(ジョセフソン接合のみを含む)上にπ接合を後から集積する方法の2つを検討し、両方法において基本的な超伝導素子であるSQUIDの動作実証に成功した。(2)に関しては、最終成果物であるプログラマブルAQFP回路(2入力ルックアップ・テーブル)のマスクレイアウトまで完了した。さらに、産総研のファウンドリを用いて同回路のチップ(ジョセフソン接合のみを含む)を試作し、本チップ上へのπ接合作製の準備を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに作成したマスクレイアウト及び構築したプロセス技術を用いて、プログラマブルAQFP回路の作製と動作実証を目指す。 研究分担者・山下は、これまでに構築したπ接合-AQFP回路作製の基盤技術をベースとして、現在進めている回路素子の作製を完了する。その評価結果を踏まえ、設計や作製プロセスにフィードバックを行い、プログラマブル超伝導回路の実現を目指す。 研究代表者・竹内は、上記の作製された回路の動作実証を液体ヘリウム中で行う。正常動作が確認できない場合は、回路パラメータを見直し、回路設計にフィードバックを行う。また、本研究は超伝導FPGAの基盤技術確立を目指してきたが、さらなる発展として、量子計算機等の応用に関しても検討を行う。
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Research Products
(8 results)