2018 Fiscal Year Annual Research Report
自立飛行型斜張橋ケーブル点検ロボットシステムの開発
Project/Area Number |
18H01513
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中村 聖三 長崎大学, 工学研究科, 教授 (40315221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 郁夫 長崎大学, 海洋未来イノベーション機構, 教授 (10392953)
西川 貴文 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (50512076)
下本 陽一 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (80244036)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 点検ロボット / 斜張橋 / ケーブル / 画像処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 本体フレームの最適化について 現在所有している2種類の機体の有限要素解析モデルを作成し,複数の荷重条件で解析を実施した.それぞれの機体について得られた変位と応力に基づき,機体に必要な強度,剛性について検討した.さらに,2種類の機体軽量化案を考案し,有限要素解析によりそれらの強度,剛性を検証した.これらの成果を土木学会西部支部研究発表会で発表した. 2. 衝突防止機能の確立とPDI制御器による自動速度制御 点検ロボットを安全に自動運転させることを目的として,主塔までの距離計測センサ,機体移動距離,速度等により機体状況を把握できるシステムを構築した.また,カメラ表示映像に情報表示することにより機体状態を把握し,高所操作,速度調整を行いやすくして安定した映像取得が可能となった.さらに,上述した各種センサーを有する点検ロボットに対して,機体の力学モデルの作成,コントローラの設計を行った.コントローラにはPID補償器を実装した.PID補償器の3つのパラメータ(比例ゲイン・積分ゲイン・微分ゲイン)の調整は,従来提案されている調整法をもとに,シミュレーションにより大まかな調整を行った.その後,実験により上昇,下降とも与えられた設計仕様を満足するパラメータを決定した.成果の一部は日本機械学会九州支部北九州講演会論文集にて発表した. 3. 外観展開画像作成アルゴリズムの構築 撮影飛行によって集録された4系統の動画像データから,ケーブル毎の表面展開画像を作成する時間・空間方向の画像合成アルゴリズムを構築した.連続静止画像の重複領域の推定に,画像相関法に加えて,機体の搭載エンコーダから取得される速度データの演算処理を行うことで,速度が一定でない撮影飛行によって連続集録される曲面動画像から,表面展開画像を作成することができた.これらの成果を土木学会西部支部研究発表会で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を構成する3要素である1.機体フレーム構造の最適化,2.自立航行のための制御システムの開発,3.取得した動画から損傷を抽出する画像処理のうち,1.については当初予定より進んでおり,解析モデルの構築と一部軽量化の検討が実施できた.2.についてはおおむね当初計画通りの進捗であり,室内実験レベルでは一定の条件下で要求性能を満足することができた.3.については当初予定よりやや遅れており,4系統の動画像データから,ケーブル毎の表面展開画像を作成する時間・空間方向の画像合成アルゴリズムを構築したが,十分な精度の表面展開画像作成には至らなかった. 以上のことを総合的に評価し,全体的にはおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
1. 本体フレームの最適設計(中村) 2018年度末,載荷試験にも利用可能なフレームを製作した.2019年度は製作したフレームを用いた載荷試験を実施することで,解析の妥当性を検証するとともに,必要な強度剛性を確保した上で,可能な限り軽量化を図るための解析的な検討を行う. 2. 制御システムの改良とフィールドへの適用検討(山本・下本) 点検ロボットシステムのフィールド適用検討を行う.特に,点検ロボットの制御に関し目標速度で下降できるように制御切替位置の検討を行うとともに,斜張橋への適用範囲拡張のために広い傾斜角での実験を実施し制御系の改良を行う.また,成果の学会発表を行い,国内外専門家からの評価フィードバックを得てさらなるシステムの高度化を図る. 3. 外観展開画像作成アルゴリズムの改良と変状領域識別アルゴリズムの構築(西川) 2018年度,実際に撮影された4系統の動画像データをもとにケーブル被覆表面の展開画像作成アルゴリズムについて検討し,一定の成果を得た.2019年度は,それを改良するとともに,ケーブル被覆表面の汚れや変形,劣化・損傷などの変状を画像解析によって抽出するアルゴリズムについて検討する.その際,処理速度に優れる高速抽出処理と変状の形態を識別する詳細分析処理の二つの画像解析を試みる.前者には遺伝的プログラミングを用いたフィルタ構築技術,後者には深層畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルを用いることを想定している.
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