2018 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation on the deformation and strength characteristics of helicoidally laminated CFRPs towards the achievement of ductility and toughness
Project/Area Number |
18H01515
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松本 高志 北海道大学, 工学研究院, 教授 (40301121)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 構造工学・地震工学 / 土木材料 / 複合材料・物性 / 長寿命化 / 延命化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,らせん積層を有し粘り強い生体の外殻構造に着想を得て,人工物であるCFRP(炭素繊維強化ポリマー)積層複合材料と部材の脆性挙動の改善と粘り強い特性の獲得が可能かどうかを検討することを目的とする.CFRPは高強度で軽量であり,構造材料として望ましい特性を備えているが,材料および部材としての挙動が脆性的であり,線形挙動の後に突然の局所的な破壊を生じて,耐荷能力を急激に失う.現在多く用いられている直交積層や擬似等方積層等のCFRPが示す脆性的な挙動を改善し粘り強い特性を獲得できるならば構造材料として大きく可能性が広がる.本研究では,これまでの予備検討を踏まえて,CFRP積層複合材料のらせん積層構成について詳細なバリエーションを検討し,材料と部材の損傷・破壊機構を確認・考察し,CFRP構造部材の変形・耐荷性能の向上を行う. 平成30年度においては,以下の成果を得た. 小規模要素実験の梁供試体の積層構成は直交積層,らせん積層3種類とした.荷重は3点曲げ載荷と4点曲げ載荷とした.らせん積層にして層間の配向角度差を小さくするにつれて,最大荷重と第一ピーク荷重は減少するが,軟化は抑制され,第一ピーク荷重を経て荷重降下した後の荷重保持が大きくなり,脆性的挙動が改善されることを確認した.これに伴い第一ピーク荷重前後のエネルギー吸収量の比は一部のらせん積層において大きく向上した.損傷・破壊挙動においては,らせん積層の層間配向角度差を小さくすると,圧縮側では破断・層間剥離が少なくなるとともに層間剥離が大きく広がり,引張側では層間剥離が多く発生する傾向を確認した.総じて,局所的な損傷・破壊は起きにくくなり,損傷深さも小さくなっていることを確認した.また,三点曲げと四点曲げのいずれの載荷条件においてもらせん積層の特徴的な損傷・破壊形態が観察されることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度については,3 種類のらせん積層のCFRP を作製し,直交積層のCFRP と,三点曲げおよび四点曲げの載荷条件下で,曲げ挙動と損傷・破壊挙動を比較した.3 種類のらせん積層は40 層の積層板において,層間の配向角度差を36度,18 度,9 度としたものである. 小規模供試体の要素実験により,らせん積層の様々なバリエーションについて,粘り強さへの改善の視点から,各種荷重下での破壊形態,荷重-変位挙動,特性値を確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度の研究実施については以下を計画している. 小規模供試体の要素実験により,らせん積層の様々なバリエーションについて,粘り強さへの改善の視点から,曲げ荷重下での破壊形態,荷重-変位挙動,特性値を確認する.供試体の形状は長方形板の梁曲げとしており,これを本年度も一部継続する. 一方で,長方形板の梁曲げにおいては,らせん積層構成による繊維の目切れが供試体側面に生じてしまうため,特に引張縁から生じて複数の層間を伝搬する剥離破壊に対する目切れの影響を無視できない.この目切れの影響を排除するために,正方形板の供試体を円周状に支持して中央載荷とする板曲げの条件下で,破壊形態,荷重-変位挙動,特性値を確認する. 上記を踏まえて,最適と考えられるらせん積層構成を2~3種類選択して梁部材の設計を行う.
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