2019 Fiscal Year Annual Research Report
Advanced monitoring of coastal morphology using data assimilation
Project/Area Number |
18H01544
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
岡辺 拓巳 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50464160)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 伸一 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60159283)
武若 聡 筑波大学, システム情報系, 教授 (80202167)
古山 彰一 富山高等専門学校, その他部局等, 教授 (90321421)
加藤 茂 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40303911)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 漁船ビッグデータ / 海底地形 / 汀線変化 / Xバンドレーダ / 密度流 / データ同化 |
Outline of Annual Research Achievements |
漁船ビッグデータの生成では,既設の漁船より操業中のデータを継続的に取得し,ビッグデータを生成した.以前より蓄積してきたデータを用いて,粒子フィルタによる水深の空間点群データの時空間内挿を試算した. リモートセンシングでは,対象河口においてXバンドレーダの観測設備を稼働させた.加えて,準高分解能のオープン衛星画像を用いて,広域の汀線位置を高頻度に把握した.静岡県遠州灘海岸の東部(天竜川河口から20 km)を対象とし,2010年から2019年の78シーンより10 m毎に汀線位置を読み取った.その結果,構造物付近の汀線形状の特徴を捉えていること,汀線の変動傾向が既往の研究と整合すること,実測結果との平均的な差が衛星画像の空間分解能(20 m)と同程度であったことから,その妥当性を確認した. 泥水流については,PIVを用いた水理実験により大規模出水時の土粒子の沈降特性を明らかにした.密度流先端部では乱れの増大が土粒子の沈降に影響を与えており,沈降速度については概ねRubey式が適用できることがわかった.天竜川河口沖での濁水観測結果を分析し,河川水は表層密度流となっており,塩分と濁度に明確な負の相関が見られたが,沖合い観測点ほど濁度が低下しており,土粒子の沈降の影響が現れていた. 汀線変動の予測では,汀線変化モデル(One-line model)による静岡県浜松篠原海岸の長期再現計算を行い,海岸侵食の傾向を試算した.対象領域は沿岸方向8 km,岸沖方向3 km(格子間隔200 m)とし,沖波の波高2.19 m(観測における年平均),汀線に入射角0°の波を1984年の初期地形に与え,2004年までの20年間を計算した.その結果,2004年時の汀線観測結果を概ね再現できており,構築したモデルを検証できた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
漁船ビッグデータによる地形情報の生成については,データ生成基盤を安定的な運用できた.また,海岸管理者と協力し,遠州灘で操業する漁船に対し,新たにデータロガーを搭載できたことで,更に多くのデータを蓄積できる.地形データの生成手法では,空間的なデータ点群に対する時間内挿手法を試算できた.次年度は動的同化に接続するよう取り組む. リモートセンシングについては,Xバンドレーダによる対象領域のモニタリング環境を構築した.また,衛星画像を用いて汀線情報を把握できたことで,数値計算の境界条件に関する情報取得の方法を構築できた. 河川からの土砂供給過程については,大規模出水時に一気に発生することから,高濃度泥水流の挙動に関する基礎的な実験を実施してきた.特に,大量の土砂流出が生じる際には高濃度泥水流が海域で底層密度流となる可能性があることから,その挙動に着目してきた.一方,出水時の現地観測は観測可能な気象条件や範囲が限られることもあり,これまで底層密度流を捉えることはできていない.ただし,河口近傍では底層密度流が形成されていることが考えられ,水理実験結果を参考に現地での出水時地形変化を解析する予定である. 数値モデルについては,境界条件と計算結果の関係について十分には検証できていないが,研究計画に沿ってOne-lineモデルを実地形に適用する検証ができた.データ同化の実装に関してやや遅れが見られるものの,ビッグデータの蓄積や土砂供給・地形などの数値計算のための境界条件の推定も進んでおり,遅れは大きくないと判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
漁船ビッグデータにおいては,データロガーの設置を拡大した漁船からもデータを収集し,さらに大量の地形データを蓄積する.過去のデータも含め静的同化による地形データの時系列を構築し,動的同化モデルの入力値として整理する. リモートセンシングにおいては,広域の沿岸漂砂量を推定するための地形データセットを作成し,漁船ビッグデータと連動させて解析して土砂フラックスの推定を試みる. 河川からの土砂供給量の解明では,過去に実施した河口域の深浅測量のデータから流出土砂量を概算し,河川出水量との関連性を検討することで河川-海域の境界条件を推定する. データ同化モデルについては,構築したone-lineモデルをデータ同化型に改良する.また,観測データとの同化に対してGPGPUを用いた多次元モデルの構築に着手し,ビッグデータ同化の実現に注力する.
|
Research Products
(4 results)