2019 Fiscal Year Annual Research Report
Point cluster detection of socio-economic events for regional monitoring
Project/Area Number |
18H01552
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 亮 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (60401303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金森 亮 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任准教授 (40509171)
磯田 弦 東北大学, 理学研究科, 准教授 (70368009)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 空間統計解析 / スパースモデリング / 小地域分析 / Fused lasso / Fused MCP |
Outline of Annual Research Achievements |
各国政府によるオープンデータ施策の進展などに伴って,多種多様な社会経済活動に関して詳細な地点や時点を記録した,地理空間データの公開を推進する動きが拡がっている.公開されたこれらの地理空間データを利活用した分析から,地域の現状を把握して将来計画を立案できる地域分析環境が整いつつある.地域の社会経済活動の実態を表している地理空間データは,地域モニタリングやエビデンスに基づく政策決定に活用可能な有用な情報を持っており,その分析手法の検討は,現在,都市・地域計画や地理情報科学に関連する分野における重要な研究課題の一つである. 本研究は,地理空間データの中で,産業立地や犯罪発生などの地点・時点を表す点事象データ,および,不動産価格などの時空間分布を表す点属性データを対象に,それらのデータを用いた小地域分析を通して特徴的な地域を発見・抽出する分析に焦点を絞って,LASSOやMCPなどのスパースモデリング手法を基盤とした新たな地域分析手法の構築を目的としている. 本課題では,これまで2種類の分析を検討してきた.第一は,点事象データを用いた分析から,その空間分布が他と異なり集積している小地域を抽出する分析手法の提案である.Fused-MCPに基づく新たな分析手法を構築し,シミュレーションデータを用いた提案手法の性能評価を行っている.第二は,点属性データの一つである不動産価格データの分析にFused-MCPを導入し,他の地域と価格形成要因が異なる特徴的な小地域を発見する分析を行ってきた.これまでの検討から,スパースモデリングを基盤とする分析によって,様々な地理空間データから特徴ある小地域を発見できることを確認し,本課題で検討してきた地域分析アプローチの有効性が期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題では,これまで2種類の分析を検討してきた. 第1の点事象データの分析については,点事象がポアソン過程に従って分布していることを仮定した上で,Fuse-MCPを用いた点事象集積領域の抽出手法を提案した.シミュレーションデータを用いた検証を通して,LASSOに基づく既往研究の手法よりも高い検出力を持つことを確認している.ただし,適切なハイパーパラメータ設定を選択する規準については,更なる検討が必要である. 第2の点属性データの分析については,不動産価格を対象とした地域分析への応用分析を行い,既存の分析手法では実施が困難であった小地域単位の特徴を把握できることを確認している.応用分析として大変興味深い成果が得られており順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
本課題ではこれまでスパースモデリング手法を基盤とした,点事象データ・点属性データの分析を検討してきた.最終年度となる来年度の研究計画について,2種類の分析に分けて記す. まず,点事象データの分析については,これまでに構築したFused-MCPに基づく集積領域検出手法のハイパーパラメータ設定を行うための規準を検討し,シミュレーションデータを用いた検証を通してその有効性を評価する.また,構築した提案手法を用いて,犯罪発生地点に関する点事象データを用いて,防犯施策として実施された重点地域を設定した職務質問の効果を評価する応用分析を行う計画をしている. また,点属性データの分析については,これまでの分析モデルに空間可変パラメータモデルを導入し,空間上で連続的に変化する事象,および,空間的に不連続に変化する事象を一つのモデルで表現し,そのパラメータ推定を検討する.不動産価格データへの適用を通して,大域的には空間的に滑らかに変化するパラメータを推定する一方,局所的には近隣と価格形成が異なる小地域を抽出する応用分析を行う計画である.
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