2019 Fiscal Year Annual Research Report
Feasibility Study on Mobility Management in ASEAN countries
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18H01553
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷口 綾子 筑波大学, システム情報系, 教授 (80422195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 慎二 神奈川県立保健福祉大学, ヘルスイノベーション研究科, 教授 (40265658)
藤原 章正 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (50181409)
中村 文彦 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (70217892)
Schmoecker J.D. 京都大学, 工学研究科, 准教授 (70467017)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | モビリティ・マネジメント / ASEAN / 交通計画 / フィージビリティ / インタビュー / 質的分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,4月にラオス国ビエンチャン市,7月にフィリピン国マニラ市,12月にカンボジア国プノンペン市において,バス・鉄道などの公共交通利用者・非利用者にアンケート調査とインタビュー調査を行った. その結果,マニラ首都圏は東京都市圏以上の人口密度に達しているにも関わらず鉄道乗り入れ数は日本の約1/15に留まっており交通手段の不足が明らかになった.現地調査とインタビュー結果から,鉄道は乗客数が現在のキャパシティを大幅に超えておりオペレーションがスムーズに行われていない現状,ならびに,道路もバイク・クルマで深刻な渋滞が発生しており,八方塞がりな現状が示された.この現状を緩和させるためにはオフィス機能・居住地域の分散と,開発地域を限定し人口の流入を食い止めることが必須であると考えられる. プノンペンでは路線バスの走行開始から順調に利用者数を増やしている.これは路線数が増えたという単純な理由だけでなく,バスアプリの開発やバス停表記の改善などバス公社の努力の成果でもあることがインタビュー調査より明らかになった.今後は,バスのPRとしてMMのようなソフト施策が有効である可能性が示唆された.今後,学校教育モビリティ・マネジメント(MM)などを検討していく予定である. ビエンチャンにおいては,GDPの増大に伴い,バスではなくクルマ利用への転換が起きつつあり,その要因として「定時性が守られないこと」「利便性が悪いこと」がインタビュー調査より明らかになった.バスレーンの設置,バス路線の増加等のサービスレベル向上とともに,バスが「節約」「事故リスク低減」につながることを市民にアピールすることが有効である可能性が示された. また,研究メンバーと国際協力機構(JICA)担当者,コンサルタントを交えた研究会を二回開催し,活発な議論を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに,ベトナム国ハノイ市,ホーチミン市を含む5都市にモビリティ・マネジメント(MM)のフィージビリティ調査を実施し,定量的・定性的分析を行っており,研究計画通り順調に進捗している.ビエンチャン市とプノンペン市では,具体のMMの案を練っているところである.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度以降は,各都市の事情に沿ったMMプログラムの開発と実証実験を行うと共に,ASEAN諸国でMMを実施する際のマニュアルを,国際協力機構(JICA)と連携して整備する予定である.懸念事項としては,2020年春より世界的に蔓延した新型コロナウィルスにより,ASEAN諸国への入国が禁止されていること,JICA職員も相手国への渡航が禁じられ,相手国政府とのやりとりに遅延が生じる可能性があることが挙げられる.今後,情勢を伺いつつ,国や大学のガイドラインに沿って研究活動を進めていく.
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