2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H01554
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
布施 孝志 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80361525)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 3次元点群 / レーザ計測 / 変化検出 / 圧縮 / 更新 |
Outline of Annual Research Achievements |
MMSや航空機レーザ等の普及により、広範囲の3次元点群データの取得が進んでいる。3次元データはデータ量が膨大であることから、その後の処理における負荷が大きい。そのため、詳細な情報を保持したままデータ量を圧縮することは、様々な分野における利活用促進への貢献が期待される。さらに、継続的な整備・利用の視点から、データ更新技術を同時に考慮することが望ましい。例えば、変化部分を抽出し、その部分を対象として更新するための枠組みが必要になる。本研究では、主にレーザ計測によって得られる3次元点群データを対象として、データ圧縮・更新手法の開発を行うことを目的とする。 本年度は、スパース性に着目した3次元計測の基礎手法の改良、変化点抽出手法の開発、3次元復元精度の評価を行った。まず、3次元点群データに対するスパース性の定義に関して比較整理を行い、前年度の基礎手法に対して、複数の制約条件および特徴空間を検討した。特徴空間として地理的空間パターン、周波数パターン、空間的地形変化量等を考慮し、各特徴空間における制約条件としてパターン数や平滑性を導入した手法を開発した。変化点抽出手法として、3次元点群データ、メッシュ型データ、ボクセル型データを対象とし、異なる計測精度・密度・頻度に関する視点を導入した枠組み・手法を開発した。高頻度・低精度・低密度データを用いた変化領域抽出手法を、時系列のベイズ型手法により構築し、さらに、変化形状を抽出するため、低頻度・高精度・高密度データにスパース性および低ランク性を導入した手法を開発した。上記の通り構築した手法を、航空レーザ計測DEM、ALB計測3次元点群、MMS計測3次元点群等の実データに適用し、精度検証を行った。適用実験においては、欠損を含むデータにも適用した。精度、圧縮性能、欠損率との関係の視点から評価し、提案手法の有効性と特徴を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、特にスパース性に着目した3次元計測手法において大きく進捗した。3次元点群データに対して、様々な視点から総合的にスパース性に対する比較分析を行った例はなく、それらを具体的な手法として構築したことは、大きな成果と考えられる。さらに、当初の計画に加え、スパース性のみならず、地形等の平滑性も同時に考慮する拡張手法も構築したことにより、十分な進捗状況であるといえる。適用データにおいても、航空レーザ計測DEMデータ、MMS計測3次元点群・ボクセルデータに加え、海底地形を計測するためのALB計測3次元点群データにも拡張し、その適用可能性が広がっている。特に、ALB計測においては、欠損データへの適用可能性が重要になり、提案手法の有効性が確認された。また、変化点抽出手法としては、計測精度・密度・頻度に対して枠組みを構築し、各構成手法も構築したことから、十分な成果といえる。高頻度データに対しては、今後の整備が期待されるものであるため、一部、シミュレーションでの評価にとどまっているものの、時系列点群データ解析への方向性を示したことも成果である。以上より、当初の計画通り、順調に進展している判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度開発した手法および適用結果については、一定の成果をおさめている。これらの成果を査読付き論文として公表していく予定である。今後は、異なる精度・密度のデータに対する圧縮手法の開発、データ更新方法の検討、圧縮・更新の両者からの手法評価を行っていく予定である。また、圧縮手法においては、今年度に人工知能的アプローチの導入可能性について検討を行ったため、それに基づき手法の構築を行っていく。性能評価においては、近年、評価比較のためにベンチマークデータセットの公開が進んでいるため、これらも利用し、より客観的に、他手法との比較を行う。実データにおいても、その入手方法も確保できているため、研究遂行にあたっても、問題ないと考えられる。また、実務者へのヒアリング等を行うことにより、社会還元への示唆が得られることが期待される。
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