2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Statistical Apploach to Stock Effects of Inter-regional Transport Network on the basis of Socio-economic Big Data
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18H01560
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
塚井 誠人 広島大学, 工学研究科, 准教授 (70304409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 誠 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (00194514)
山口 裕通 金沢大学, 地球社会基盤学系, 助教 (10786031)
力石 真 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (90585845)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 統計的因果探索 / ストック効果 / パターン抽出 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は幹線旅客純流動調査の完成を待ってモバイル空間統計データを入手して,これらのデータを比較するための特性把握手法の開発に努めた.その結果,本研究では主に2つの研究成果が得られた.一つは,異なる調査手法から得られる都市間流動の比較について,非負値行列委因子分解により,共通する特徴と異なる特徴に分解する手法である.この手法は,Canh Do研究員との共同執筆にて,EASTSに投稿したところ,優れた論文としてAsian Transport Studiesへの掲載が推薦され,採択された.もう一つは,ベースとなる調査データに対して比較対象する調査データがどの程度共通で,どの程度異なっているかを明らかにする手法である.こちらは多重ナップサック問題として定式化し,ベース調査データから得られる基底が比較調査に占める割合を算出する手法である.本手法は,第33回応用地域学会にて発表を行い,会場との質疑において類似手法との比較を丁寧に行うべきとのアドバイスを受けた.現在査読付きの英文雑誌に投稿準備中である.昨年開発した「統計的因果探索」による道路のストック効果(交通アクセシビリティ変数の効果)の計量的な分析手法については,土木学会論文集に投稿した.その結果,査読者からの質疑を経て採択された.また研究分担者も,純流動調査ビッグデータからの特徴抽出手法の開発やネットワーク計画論に関する論文を投稿し,それぞれ査読付き論文として採択されている.次年度以降に両者を統合した分析手法の開発を目指す予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,昨年度習得できていなかったモバイル空間統計を入手して,その特徴抽出手法について開発を行い,旅客流動を踏まえたストック効果把握手法の開発に向けた統計処理手法を開発した.本年度開発した手法は,1)異なる情報源から得られた同一地域のOD表のうち,共通部分と異なる部分を分離する方法,2)2つのOD表のうち,一つをベースラインと見たときに,他方のOD表にそれらのベースラインがどの程度含まれているかを明らかにする方法である.いずれも経年的なOD表から特徴を抽出する際に重要な手法であり,他時点の地域データからインフラストック効果を算出する際に活用できる.自治体単位の付加価値額推計に関しては,データ収集とモデル開発を並行して進めており,次年度早々に完了する予定である.空間一般均衡モデルに関しては,産業間投入を含まない付加価値額ベースの一般均衡分析については,モデルのパラメータ推計手法の開発を,民間の研究協力者との間で完了しており,次年度にはこの成果を踏まえた経済モデルの開発に進む予定である.また本年度も研究分担者との進捗の摺り合わせを行うため,研究打合せのための会議,ならびに各大学で行っている研究成果に関する合同発表会を開催し,状況の共有化に努めた.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は,これまでの研究成果を統合する.モバイル空間統計を含む調査データの特性把握については,経年的な流動変化分の抽出を通じて,社会基盤ストックの効果算出モデルにへの入力変数を作成する.さらに自治体単位で推計した生産額/付加価値額データを用いて,別途収集した地域社会・経済データベースとの統合利用を行って,統計的因果探索によるストック効果を定量的に算出する.また別途進めている空間一般均衡モデルによる地域生産額に関するシミュレーション結果と,社会基盤ストック効果の算出モデルの推計結果を比較・検証して,当初予想されたインフラストック効果に対して,実際に社会に発現しているインフラストック効果がどの程度を占めるのか,またストック効果の発現に関する地域間の相違等に着目して,比較を行う.これらの検討を踏まえて,最終年度としての研究成果の取りまとめを行う.社会的な情勢が許せば,成果を社会的に発信するための研究セミナー等も開催する.
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