2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analyzing Survey Non-Respondents and Developing Sample-Selection Correction Method
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18H01561
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
圓山 琢也 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 准教授 (20361529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿本 竜治 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (00253716)
藤見 俊夫 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 准教授 (40423024)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 無回答バイアス / 欠損データ / 代理回答 / 丸め誤差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,災害復興時と平常時の社会調査の未回答者の実態を把握し,未回答にともなう調査結果の多様なバイアスを明らかにすることと,その補正法の開発と実証を目的としている.本年度は以下の成果を挙げた. (1)2016年熊本地震による益城町の被災者向けの災害公営住宅の希望戸数の推計問題を対象に,無回答バイアスの存在を実証し,その補正法を開発した.具体的に調査回答期限に遅延した回答を擬似的な無回答者とみなし,通常の方法では,推計値にバイアスが生じることや,欠損データ補完法であるホットデック法とk-近傍法を適用し,バイアス補正に後者が特に有効であること等を示した.この成果は審査付き論文として公表済みである. (2)上述の益城町の被災者を対象とした調査で,回答時期による回答世帯の属性の違いや無回答世帯の実態を明らかにし,どのような世帯に督促や追加調査が有効であるかを示した.また,回答属性の偏りを考慮しない場合の推計結果のバイアス等も明らかにした.この成果は審査付き論文として受理済みである. (3)社会調査において本来の対象者以外が,代理で回答することによる代理回答バイアスの問題が指摘されている.この問題を分析するために,世帯内で誰が代表して調査を回答するかというグループ型意思決定モデルを構築し,代理回答バイアスを推測する分析手法を構築した.熊本都市圏パーソントリップ調査に適用し,代理回答バイアスの推測を行い,国際誌で発表済みである.また,自由回答における代理回答の分析も審査付き論文として発表した. (4)社会調査に含まれるバイアスとして,回答値を丸めて回答されるという丸め回答誤差にも着目した分析を進めた.交通調査においては,出発時刻等の丸め誤差が相当し,その発生モデルや代理回答の推測値の検証への活用も検討した.この成果は国内外の学会で発表済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
無回答バイアスの実証と補正法の開発や,代理回答バイアスの分析方法について国内外の学会誌に多数の審査付き論文として成果を公表済みであり,研究は順調に進展している.さらに当初計画していない自由回答のバイアスや,出発時刻の丸め誤差についても展開しているため,当初の予定以上に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
調査の代理回答と丸め誤差の分析に注力し,調査の真の回答者データが得られている海外の交通調査データも利用しながら,その分析やバイアス補正法の開発に取り組む予定です.
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