2019 Fiscal Year Annual Research Report
低廉な高性能エアカソードを用いた有機物・窒素同時処理モジュールの創製
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18H01565
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
渡邉 智秀 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (60251120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石飛 宏和 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (00708406)
窪田 恵一 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (50707510)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 微生物燃料電池 / 廃水処理 / エアカソード / 硝化 / 窒素処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
アノード面積をカソードに比して大きくすることでアノードに起因した出力の制約をできるだけ回避可能なMFCを作製し、前年度に調整方法を確立した窒素ドープ活性炭を触媒に用いたエアカソードの触媒層調整条件を実験的に検討したところ、触媒担持量が20mg/cm2程度において最大出力が得られることがわかった。また、触媒層を構成するバインダー候補として、PTFE、PDMS、PVDFおよびPVDF-HFP等を選定し、所定の測定条件下で回転電極法を応用した測定を行い、得られる電流密度と添加率の関係を明らかにした。これに基づいて、電流密度をできるだけ低減しないバインダー添加率で作製したエアカソードを設置したMFC実験から、従来のナフィオンを用いた系の80%に相当する出力を安価に得られることがわかった。 硝化細菌生物膜を事前に形成させた多孔性シートでエアカソードの触媒層表面が覆われた構造を有する窒素除去エアカソードを試作し、その特性や多孔性シート性状との関係を実験的に検討した。その結果、多孔性シートを用いるとエアカソードへ直接硝化細菌生物膜を形成させた場合と比べ、系内への酸素透過量の適度な抑制と同時に長期運転に伴う酸素透過速度や硝化速度の低下を緩和できた。また、多孔性シートの使用でエアカソード上の生物膜量が著しく低減され、主として好アルカリ性で高塩性の微生物群で構成されていたことから、近傍がアルカリ性に維持されることが寄与していることがわかった。窒素除去や出力性能は、多孔性シートの性状に強く依存し、本実験の範囲ではPP製の効果が高い傾向があったものの、より適する条件を探る必要性が認められた。 フェルト状カーボン、カーボンペーパーおよび多孔性導電樹脂等をアノードとして用いた一槽式MFCの性能比較実験を行い、それぞれの特性ならびに窒素除去エアカソードとの一体化に適する材料の知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までの取り組みを通じて、安価な活性炭を原料としたORR活性の高い触媒やそれを使用した触媒層の最適な調整条件についての知見が概ね集積されてきている。また、多孔性シートを用いた窒素除去エアカソードの有効性が実証されたことおよびモジュール化を想定したアノード材に関する知見の収集等が概ね当初の計画に沿って得られている。一方で、多孔性シートを使用した窒素除去エアカソードに適するシート材の探索や本系に適するエアカソードの作製条件について検討の余地が残されていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで概ね順調に進展しているところであるが、前年度までの研究で明らかとなった課題の中で優先順位をつけて検討をしつつ、その結果も踏まえて、窒素除去エアカソード作製条件の確立とアノードと組み合わせたモジュール試作へ向けた次年度の各検討項目を遂行していく予定である。これに加えて、カソード触媒のさらなる高活性化や低廉化に寄与する作製条件や方法についても継続して調査する。
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