2018 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of apatite-treated coal fly ash amendment on soil water retention capacity and its field test
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18H01567
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 史武 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (00414376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高岡 昌輝 京都大学, 工学研究科, 教授 (80252485)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 石炭灰 / リサイクル / 乾燥地 / 水分保持能 / アパタイト処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、石炭灰に特定のリン/カルシウム比でアパタイト処理した場合、水分保持能が増加するメカニズムの解明を目指した。石炭灰複合層の表面形状、親水性、石炭灰と土壌の団粒構造特性などが水分保持能に起因していると考えられ、どのような要素が水分保持能の支配的要因となっているか明らかにすることを目的とした。 アパタイト処理の条件を変化させ、水分保持能がどの程度変化するか測定した。また、有機物等の添加や加熱処理などによって、特に親水性や石炭灰の凝集構造を変化させ、支配的要因を解明することを試みた。なお、同条件にて繰り返し実験を3回以上行い、統計分析によって水分保持能に与える効果(水分保持能が増加する効果と減少する効果の両者)が有意であるとされた条件のみ「効果あり」とし、それ以外ではて水分保持能の増減は実験誤差によるものとした。 粒子表面形状、粒子径分布、比表面積、撥水性、毛管水量、pF値それぞれは水分保持能と強い相関を有さないことを明らかにした。水分保持能はこれらの要因が複雑かつ相互的に関与していると考えられたため、水分保持能の変化量に着目し、これが比表面積、撥水性および毛管水量の変化量で良く説明できることを見出した。比表面積の関与が最も大きく、次に撥水性と未知要因の関与が大きいこと、毛管水量の影響は小さいかった。次に、単純な有機処理、有機アパタイト処理および有機焼成処理では添加効果が異なり、有機処理では砂の水分保持能を有意に減少させるが、有機アパタイト処理では増加させること、mmサイズの空隙は水分保持能の増加に貢献しないことを見出した。各種の処理によって水分保持能への効果が複雑に変化することから、土壌や石炭灰に含まれる有機物同士の相互作用、特にそれぞれの親水性および疎水性に基づいた相互作用が複雑な添加効果を生み出していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、石炭灰に特定のリン/カルシウム比でアパタイト処理した場合、水分保持能が増加するメカニズムの解明を目指した。特に石炭灰複合層の表面形状、親水性、石炭灰と土壌の団粒構造特性などが水分保持能に起因していると考えられ、どのような要素が水分保持能の支配的要因となっているか明らかにすることを目的とした。 粒子表面形状、粒子径分布、比表面積、撥水性、毛管水量、pF値のいづれかが水分保持能の支配因子であると予想したが、それぞれは水分保持能と強い相関を有さないことが見出された。つまり、水分保持能はこれらの要因が複雑かつ相互的に関与していることを明らかにできた。そして、水分保持能の変化量に着目し、これが比表面積、撥水性および毛管水量の変化量で良く説明できることを見出した。比表面積の関与が最も大きく、次に撥水性と未知要因の関与が大きいこと、毛管水量の影響は小さいかった。次に、単純な有機処理、有機アパタイト処理および有機焼成処理では添加効果が異なり、有機処理では砂の水分保持能を有意に減少させるが、有機アパタイト処理では増加させること、mmサイズの空隙は水分保持能の増加に貢献しないことを見出した。各種の処理によって水分保持能への効果が複雑に変化することから、土壌や石炭灰に含まれる有機物同士の相互作用、特にそれぞれの親水性および疎水性に基づいた相互作用が複雑な添加効果を生み出していると考えられる。 以上より、水分保持能の支配的要因が特定のものだけでなく、複雑かつ相互作用的なものとなっていること、比表面積の関与が最も大きく、撥水性の関与も大きいが毛管水量の影響は小さいことを明らかにしており、研究は概ね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、平成30年度での研究を継続させ、石炭灰に特定のリン/カルシウム比でアパタイト処理した場合、水分保持能が増加するメカニズムの解明を目指す。 水分保持能が様々な要因によって相互作用的に支配されていると考えられ、より深く水分保持能の決定メカニズムを理解することを目指す。特にアパタイト処理に有機物を添加することによって水分保持能が複雑に変化したことから、その原因を明らかにすることを狙う。 そして、中央アジアなど乾燥地でのフィールド実験実施に向け、その準備を進める。
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