2019 Fiscal Year Annual Research Report
水環境中におけるESBL産生薬剤耐性菌の存在実態と制御方法の検討
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18H01568
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
山下 尚之 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (90391614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 宏明 京都大学, 工学研究科, 教授 (70344017)
井原 賢 京都大学, 工学研究科, 特定助教 (70450202)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 薬剤耐性菌 / 基質特異性拡張型βラクタマーゼ / 水環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生薬剤耐性菌に着目して,種々の水域におけるESBL産生耐性菌の存在実態を明らかにするとともに,水環境中に存在するESBL産生耐性菌の遺伝子型解析および多剤耐性の評価を行う。また,ESBL産生耐性菌の水環境中における動態を調べるとともに,ESBL産生耐性菌の制御方法について考察を加えることを研究の目的とする。今年度は,以下の3つの項目について調査・検討を行った。 ① 河川流域におけるESBL産生耐性菌の存在実態把握:河川流域におけるESBL産生耐性菌の存在実態について調査を実施した。下水処理水が流入する都市河川を対象として,河川水および河川に流入する下水処理水を対象として試料採取を行い,ESBL産生耐性菌の存在実態の調査を行った。対象とする菌種は大腸菌とし,セフォタキシム等のセフェム系抗生物質耐性菌については,クラブラン酸を用いてESBL産生耐性菌の確認試験を行った。 ② 海域におけるESBL産生耐性菌の存在実態把握:海域において,漁港や水浴場を含めた水域において試料採取を行い,ESBL産生耐性菌の存在実態について調査を実施した。対象とする菌種は大腸菌としたが,海域での大腸菌濃度が低かったため,フィルター法を用いて大腸菌濃縮を行い,ESBL産生耐性菌の存在実態調査を実施した。 ③ 下水処理場におけるESBL産生耐性菌の動態:ESBL産生耐性菌の制御方法に関する基礎データを取得するために,下水処理場におけるESBL産生耐性菌の存在実態について調査を実施した。調査では,下水処理場において各処理過程毎に試料採取を行い,ESBL産生耐性菌の存在実態と下水処理過程でのESBL産生耐性菌の除去効果について調べた。クラブラン酸によりESBL産生が確認された大腸菌についてはESBL産生の遺伝子型分析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生薬剤耐性菌に着目して,種々の水域におけるESBL産生耐性菌の存在実態を明らかにするとともに,水環境中に存在するESBL産生耐性菌の遺伝子型解析および多剤耐性の評価を行う。また,ESBL産生耐性菌の水環境中における動態を調べるとともに,ESBL産生耐性菌の制御方法について考察を加えることを研究の目的とする。現在までに,河川流域におけるESBL産生耐性菌の存在実態把握,湖沼や海域におけるESBL産生耐性菌の存在実態把握,下水処理場におけるESBL産生耐性菌の動態,について研究を実施し,種々の水域におけるESBL産生耐性菌の存在実態を明らかにするとともに,水環境中に存在するESBL産生の遺伝子型の分析や,ESBL産生耐性菌の制御方法に関する基礎データを取得することができた。現状として,おおむね予定通りの研究の進展が見られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策としては,さらに種々の水域におけるESBL産生耐性菌の存在実態把握と遺伝子型解析を実施するとともに,水環境中に存在するESBL産生耐性菌の動態やその制御方法に関する検討を行うことを目的として,以下の項目について研究を実施する。 ① 各種水域におけるESBL産生耐性菌の存在実態把握:河川流域など各種水域におけるESBL産生耐性菌の存在実態について,調査を継続して実施する。調査では,河川や湖沼,河川に流入する下水処理水等を対象として試料採取を行い,ESBL産生耐性菌の存在実態調査を行う。対象とする菌種は大腸菌とし,セフェム系抗生物質耐性菌については,クラブラン酸によるESBL産生耐性菌の確認試験を実施する。 ② 水環境中におけるESBL産生耐性菌の遺伝子型解析と多剤耐性の評価:各種水域から単離したESBL産生耐性菌についてESBLの遺伝子型を調べ,ESBLの優占遺伝子型(CTX-M-1,CTX-M-2,CTX-M-9等)を調べる。また,水環境中から得られたESBL産生耐性菌について,各種抗生物質に対する多剤耐性プロファイルを明らかにする。特に,ESBL産生耐性菌に対する治療薬として挙げられるカルバペネム,ニューキノロン,アミノグリコシド系抗生物質に対する耐性に注目する。 ③ 水環境中におけるESBL産生耐性菌の動態と制御方法に関する検討:各種水域から単離したESBL産生耐性菌の水中での生残性に関する基礎実験を行い,ESBL産生耐性菌の水環境中における動態について基礎データを得る。また,ヒト由来のESBL産生耐性菌は下水処理場を通じて水環境中に流出することから,下水処理場におけるESBL産生耐性菌の動態に関する調査を行う。特に,塩素等の消毒プロセスでのESBL産生耐性菌の除去効果を明らかし,水処理によるESBL産生耐性菌の制御方法に関して考察する。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] Four-year monthly survey of norovirus GII in the southern part of Lake Biwa, Japan2019
Author(s)
Zaizhi Yu, Yoshiki Okuno, Yuya Shirasaka, Taichi Tamura, Akihiko Hata, Dongbum Im, Takeshi Yamaguchi, Masaru Ihara, Naoyuki Yamashita, Hiroaki Tanaka
Organizer
The 5th Asian Symposium on Water Reuse -Technology Renovation and Risk Management
Int'l Joint Research
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[Presentation] Higher occurrence of norovirus GII during summer and autumn in the southern part of Lake Biwa, Japan2019
Author(s)
Zaizhi Yu, Yoshiki Okuno, Yuya Shirasaka, Taichi Tamura, Akihiko Hata, Dongbum Im, Takeshi Yamaguchi, Masaru Ihara, Naoyuki Yamashita, Hiroaki Tanaka
Organizer
20th International Symposium on Health- Related Water Microbiology
Int'l Joint Research
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