2018 Fiscal Year Annual Research Report
Overall seismic resilience evaluation method for building structures and design method for base-isolation structural-control hybrid systems
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18H01584
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹脇 出 京都大学, 工学研究科, 教授 (20155055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 聖晃 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (00243121)
吉富 信太 立命館大学, 理工学部, 教授 (30432363)
藤田 皓平 京都大学, 工学研究科, 助教 (40648713)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 耐震設計 / 断層近傍地震動 / 長周期地震動 / ダブルインパルス / 極限地震動 / ロバスト性 |
Outline of Annual Research Achievements |
断層破壊と地震動伝播および表層地盤増幅を考慮した地震動モデルとして、(1)位相差分を用いた方法、(2)統計的グリーン関数法を用いた方法、(3)3次元有限差分法を用いた方法によるものを採用し、断層破壊過程の不確定性や地震基盤よりも上の地盤特性の不確定性を考慮した上で極限的な入力に対する多層建物のロバスト性評価法を展開した。建物応答を極大にする極限外乱を対象とすることにより、種々の不確定性を的確に反映したロバスト性評価が可能となる。 入力地震動の位相差分を用いた模擬地震動作成手法を制振と免震のハイブリッドシステムのレジリエンス評価に用い、ハイブリッドシステムの減衰の総量(免震層と連結部分の両方)を増加させることにより、上部構造の加速度応答に関するロバスト性を急激に減少させることなく、免震層の層間応答変位に関するロバスト性を高めることができることを明らかにした。 断層近傍地震動を模擬したダブルインパルス(DI)を受ける完全弾塑性型復元力特性を有する1自由度系について、粘性ダンパーを考慮したときの極限応答の閉形解を求める方法を提案した。エネルギーの釣り合いを検討する際、ダンパー減衰力-変位関係に2次関数近似を用いることでダンパーによる消費エネルギーが効率的かつ精度よく評価可能であることを明らかにした。 断層近傍地震動を模擬したDIを受ける完全弾塑性型多自由度モデルに対する極限外乱法を展開し、極限タイミングは1層の層せん断力が0となる時であることを明らかにした。DIの振幅を漸増させて極限応答のレベルとの関係を調べるダブルインパルスプッシュオーバー(DIP)という概念を新たに定義した。これはCornellらによる、記録地震動に対する漸増プッシュオーバー解析(Incremental Pushover解析)をDIに拡張したものであるが、極限応答のみを対象とする点に独創性が存在する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
地震発生から建物応答までを考慮した総合的なレジリエンス評価については、当初の計画以上の成果を挙げている。特に、断層破壊を考慮した模擬地震動の作成においては、(1)位相差分を用いた方法、(2)統計的グリーン関数法を用いた方法、(3)3次元有限差分法を用いた方法という種々の方法を試すことが可能となったことは、それぞれの特徴を十分に生かすことができた点で大きな成果であるといえる。また、3次元有限差分法では大きな計算負荷を伴うため、要素断層におけるすべり量(地震モーメント)をスプライン関数補間することにより、効率的なロバスト性評価が可能となることを明らかにした。 弾塑性型多自由度モデルに対する極限外乱法とダンパーの最適配置法の基礎部分を展開したことは当初の想定を上回る成果である。特に、ダブルインパルスプッシュオーバー(DIP)という概念を新たに定義したことは、入力地震動のレベルを応答レベルとの関係から決定する上で有効な成果であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度以降においては、統計的グリーン関数法を用いた方法に着目し、種々の高さの建物について、ダンパーの最適配置やロバスト性評価の両方について詳細に検討を行いたいと考えている。 さらに、長周期長時間地震動を模擬したマルチインパルスを受ける非減衰の2自由度系について、極限応答の近似的な解を誘導したいと考えている。それを用いることにより、上部建物の層数に関係なく免震建物の極限応答を評価する統一的な方法を展開できる見通しである。 また、想定外のレベルの地震動に対応するには、制振システムをストッパー的に用いることも有効であると思われる。ストッパー的に用いることにより、どの程度の応答抑制効果があるかについて検討を行う予定である。
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