2020 Fiscal Year Annual Research Report
多次元・極大入力に対する制振ダンパーの性能確保と制振鋼構造の倒壊防止設計法の確立
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18H01585
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
聲高 裕治 京都大学, 工学研究科, 教授 (80343234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉敷 祥一 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (00447525)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 制振構造 / 制振ダンパー / 載荷実験 / ストローク / 入力方向 / 倒壊解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は,制振ダンパーのうち最も適用実績の多い座屈拘束ブレースを対象とし,座屈拘束ブレースが過大かつ水平2方向の入力を受けた場合の終局挙動を確認するための載荷実験を行った。実験パラメータは,水平力の入力方向のほかに,ブレース接合部のディテールと座屈拘束部端部のディテールである。すべての試験体で構面外座屈により終局を迎え,接合部の剛性が低いほど早期に終局に至った。接合部のディテールによって,水平2方向から入力をうけたときの挙動に差異が見られた。既往の設計法でこれらの終局挙動の発生を防ぐことができないことを明らかにし,新たな設計法を構築する必要性を指摘した。 上記に加えて,座屈拘束ブレースを適用した高層建物が,設計の想定を大きく超える巨大地震を受けるときの挙動を時刻歴応答解析により確認した。解析には20層の平面骨組を用いており,座屈拘束ブレースの構面外座屈発生後の耐力低下や柱梁の局部座屈発生後の耐力低下を考慮している。解析結果より,骨組が倒壊に至るときの地震動の強さは,ブレースの水平耐力分担率の増大に伴って減少する傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
座屈拘束ブレースに過大かつ水平2方向の入力を与える実験については,装置の設計完了が当初の計画より遅れたこと,装置の製作にかかる日数が当初計画より増えたこと,装置導入にかかる費用が当初の計画の予算をオーバーしたことによって,2019年度の実施が困難になった。2020年度の実験は順調に進められたが,当初の遅れを引きずったかたちで研究が進捗している。 一方で,座屈拘束ブレース付骨組の倒壊解析は,おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
座屈拘束ブレースが過大かつ水平2方向の入力を受けた場合の終局挙動を確認するための載荷実験については,構面外座屈を防止できるディテールを採用し,ストロークの限界を迎えた場合の挙動の確認を目指す。また,座屈拘束ブレース付骨組の倒壊解析では,ブレースの水平耐力分担率以外の構造パラメータが骨組の倒壊挙動に与える影響の確認を目指す。
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