2018 Fiscal Year Annual Research Report
Active, semi-active structural control against large ground motion and non-linear real-time hybrid simulation
Project/Area Number |
18H01587
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤谷 秀雄 神戸大学, 工学研究科, 教授 (10344011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 洋一 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (70252616)
伊藤 麻衣 神戸大学, 先端融合研究環, 助教 (90647421)
梶原 浩一 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震減災実験研究部門, 総括主任研究員 (10450256)
佐藤 栄児 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震減災実験研究部門, 主任研究員 (60343761)
榎田 竜太 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震減災実験研究部門, 特別研究員 (20788624)
藤永 隆 神戸大学, 都市安全研究センター, 准教授 (10304130)
浅田 勇人 神戸大学, 工学研究科, 助教 (70620798)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | デュアル・リアルタイムハイブリッド実験 / 振動台 / 高速アクチュエータ / セミアクティブ免震構造 / 大質量比AMD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アクティブ・セミアクティブ制御を用いて、大振幅地震動に対して、人命保護のみならず、建物の損傷を制御し、重要な機能を維持する方法を提案することを目的とする。構造部材(骨組や免震積層ゴム)が非線形化した後の挙動に対してもアクティブ・セミアクティブ制御の効果を検証するために、2つの加振装置によるリアルタイム・ハイブリッドシミュレーション(RTHS)による検証システム(デュアルRTHSシステム)を提案した。研究項目は、1)デュアルRTHSシステムの開発、2)非線形セミアクティブ免震構造の提案、3)大質量比アクティブマスダンパー(大質量比AMD)制振構造の提案である。 これに対し平成30年度は、1)デュアルRTHSシステムを開発し、その動作を確認し、続いて2)非線形セミアクティブ免震構造の提案を行った。 構築したデュアルRTHSとは、コンピュータ(DSP)内の建物モデルに地震動を入力し時刻歴応答解析を行い、得られた免震層の応答変位をアクチュエータで再現し積層ゴムを加振し、振動台で再現しセミアクティブ制御ダンパー(MRダンパー)を加振するものである。このときアクチュエータへは振動台側のコントローラからLANケーブルを通じて指令が送られる。そして積層ゴムの復元力とMRダンパーの減衰力をロードセルでそれぞれ計測し、DSP内建物モデルの運動方程式に代入して応答解析と制御演算を行う。これらの操作は500Hz間隔で繰り返される。 このデュアルRTHSを使用し、積層ゴムがハードニングを生じる非線形領域で応答する免震構造の応答をセミアクティブ制御で低減する実験を行った。その結果、積層ゴムの非線形挙動時において、提案したセミアクティブ制御則によって、線形挙動時と同等またはそれ以上のセミアクティブ制御の効果が得られることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の当初計画では、デュアル・リアルタイムハイブリッド実験システム(デュアルRTHS)を構築することであったが、2年度目に計画されていた免震構造の積層ゴムの非線形挙動に対してもセミアクティブ制御で応答低減を行う研究が実施できたことが、当初の計画以上に進展していると評価する理由である。また大質量比AMDの解析的研究も進んでいる。 構築したデュアルRTHSの適切さを次のように確認した。デュアルRTHSの再現性を検証するため、デュアルRTHS実験での、振動台側コントローラからアクチュエータ側コントローラへの指令、振動台への指令から実変位、アクチュエータへの指令から実変位までの遅れ時間、および指令信号と計測値の相関係数を全実験ケースで求めた。遅れ時間の全実験ケースの平均値は0.05秒以下で、免震構造の実験を行う上では十分に短い時間であり、相関係数の平均値も0.994と極めて1に近く相関が強いことを示しており、位相のずれが小さいことを確認した。 次に、このデュアルRTHSを用いて実施した、提案したセミアクティブ制御則の制御効果の検証については、セミアクティブ制御と非制御の結果を比較し、さらに線形挙動時と非線形挙動時の結果を比較した。その結果、積層ゴムの非線形挙動時において線形挙動時と同等またはそれ以上の制御効果が得られたことを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、まずデュアルRTHSシステムが適切に動作していることを確認するために、E-ディフェンスにおいて、セミアクティブ免震の実大に近い大型実験を行う。これによってデュアルRTHSシステムの妥当性が最終的に検証できることになる。このとき研究協力者であるErik A. Johnson教授(南カリフォルニア大学)、Richard Christenson教授(コネチカット大学)も参加する。 次に基礎固定のコンクリート系建築物を対象に、アクティブマスダンパー(AMD)による振動制御のデュアルRTHSによる検証システムを構築する。得られた検証システムを用いて、大振幅地震動を受けた際、構造骨組が非線形挙動することが予想されるが、その非線形挙動に対してもAMDによる振動制御によって応答低減効果を発揮する制御システムの性能検証を目指す。 AMDの制御システムの妥当性がデュアルRTHSで検証され、さらに、数値シミュレーションでデュアルRTHSの結果を追跡できることが確認されれば、その後は数値シミュレーションで十分な制度で振動制御の効果を検証できることになる。さらに最終年度には、基礎固定の鋼構造にも適用する実験を行う。 それによって、非線形挙動する構造骨組に対するAMDによる制御設計への道を開くことになる。これらについて得られた成果を国内・国際学会に発表する他、国際共著論文の投稿を行う。
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Research Products
(2 results)