2018 Fiscal Year Annual Research Report
Proposal on Evaluation Method of Residual Performance and Retrofitting Method for Timber Structure
Project/Area Number |
18H01589
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森 拓郎 広島大学, 工学研究科, 准教授 (00335225)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
簗瀬 佳之 京都大学, 農学研究科, 准教授 (00303868)
田中 圭 大分大学, 理工学部, 准教授 (00325698)
五十田 博 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (40242664)
中川 貴文 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (60414968)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 建築構造・材料 / 耐震 / モデル化 / モニタリング / 生物劣化 / 長寿命化 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、国主導のもと、木質資源の長期利用、木材の利用促進への取り組みがなされており、その主要な利用先として木質構造が挙がられる。しかし、木質構造の長期利用において重要となる木材や木質材料の生物劣化と強度に関する体系的な研究は少しずつ蓄積されてきているものの、接合部や耐力壁といった構造に関する研究は少なく、併せて木質構造などの建物全体での診断や評価に関する研究も少ない。そのため、これら木質構造の接合部および耐力壁に関する生物劣化を受けた場合の実験データの整理と木質構造での調査データの蓄積、加えて計算による残存性能の評価とその対策が急務であり、これらを体系的に推し進めることを目的とし、そのための実験的及び解析的に検討を実施している。 そこで、木材が生物劣化を受けた場合の接合具の強度性能に関するデータベース化のためのデータ収集、またそれに伴う接合部の評価につながる接合具と接合部の性能評価の関係、そして、それらデータを用いた耐力壁の評価を実施した。データベースについては樹種及び木ねじなどの新たな接合具などを拡充しており、特に木材が濡れたままの状態では性能が少し低くなってしまうことなどを明らかとした。接合部については接合具と同様に耐力を低下させると少し低下率が大きくなりすぎることが確認できた。そのため、来年度は、接合部に用いるサイズの長い接合金物(クギや木ねじ)について検討することでその誤差の範囲を明らかにするつもりである。また、耐力壁については、うまく評価することができていなかった筋かい耐力壁について解析的なアプローチを実施し、評価のめどが立つところまで進めることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗として、建物調査については、思ったほどの建物数が得られなかったが、詳細なデータを取ることができた。今後も継続してデータの蓄積を図りたい。また調査した建物についての解析を実施したが、生物劣化を受けている箇所が少なく、もともとの性能が足りていないために、あまり有用なデータを得ることができなかった。もう少し仮想の建物などを用いた評価を実施するなどパラメータスタディーを実施し、生物劣化の評価が必要な性能劣化度合いなどの検討を進めていきたい。次に、合板耐力壁と筋かい耐力壁に関する解析的な評価については順調に進んでいると言える。今後は、評価のバリエーションとより強い金物を用いているものについても計算できるようにデータベースの拡充を図る予定である。補強手法については、面材を用いた手法についていくつか検討しており、また文献調査も進めているところである。ただし、現行法にあるような耐力壁に対応できる基礎を持つ場合に限っており、今後より幅広いデータの収集、それに対応しうる実験の検討を進めたい。これらを勘案し、建物データに関する項目以外は順調に検討が進んでおり、実験に必要な資料の収集なども進んでいること、また接合部評価における問題点の抽出ができたことなどから、おおむね順調に進んでいるものと判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
課題1. 既存住宅における生物劣化診断機器を用いた調査による劣化診断:昨年度に引き続き、既存木造建築物を耐震診断する際に、生物劣化診断機器を用いた調査を同時におこなう。本年度も数棟について詳しく調査検討し、耐震診断結果と劣化箇所のデータの蓄積を図る。さらに、計測許可を頂けた建物においては、劣化モニタリングとして温湿度及び主要部分の含水率の長期計測も実施する。 課題2. 劣化調査をもとにした既存住宅の残存性能の評価:上記の詳細に調査した木造建築物について、劣化診断機器の値をもとに昨年度改修したデータベースを用いた接合部や解析的に計算可能とした劣化後の耐力壁のデータを入力し、Wallstat(木造建築物の耐震性能評価ソフト)を用いた耐震診断を実施する。劣化の生じたデータが入力できた場合と劣化度による低減係数だけをかけただけの場合を比較し、一般および精密診断で与えている低減係数の範囲の適当度を調べる。 課題3. 木質材料の残存性能評価と接合部や壁構面に関する診断機器を用いた残存性能評価:木造建築で多く用いられている集成材などについては、生物劣化が受けた場合の材料実験や接合具実験を実施していないため、それらを実施し、既存の無垢材のデータとの比較をおこない、違いや傾向を明らかにする。また、データベースの拡張として、1次データのみではなくて、データをもとに推測・推定するメカニズムの提案を行う。それによる接合部や耐力壁の性能の推定(算定)を目指し、データベース化を図る。 課題4. 簡易な補修方法および耐力再生方法の提案:昨年に引き続き、建物補強の方法については既往の研究を調査し、安価で施工性にも優れたものを探す。特に、あとから施工したクギや木ネジの性能について検討する。また、木造の劣化調査結果における劣化位置のデータを基に、その個所と耐力に見合った補修・補強方法も検討する。
|
Research Products
(5 results)
-
-
-
-
-
[Presentation] Residual Strength of Shear Resisting Walls with Partial Decay at Wall Legs2018
Author(s)
Takuro MORI, Kei TANAKA, Toko NAGAMI, Maki SHIBAO, Susumu NISHINO, Yutaka TAKI, Ryuya TAKANASHI, Masahiko TODA, Ryosuke TOMITAKA, Mitsunori MORI, Yasunobu NODA
Organizer
World Conference on Timber Engineering 2018
Int'l Joint Research