2018 Fiscal Year Annual Research Report
Research on high efficiency and reliability of air conditioning system for production facility
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18H01591
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
羽山 広文 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80301935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 太郎 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70312387)
菊田 弘輝 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20431322)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 省エネルギー / データセンタ / 空調システム / 高効率化 / CFD解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、主にIT機器を収容したデータセンタと高発熱の工作機器を収容した精密機械工場の空調設備に関し、室内作業者の労働環境を確保しながら機器の発熱を確実に高効率で冷却することを目的に、(1)室内の温熱環境・空気環境の適正化、(2)空調設備の高効率化、(3)空調設備の信頼性確保の3点を主眼に据え、①「空調効率の決定要因解明とIT機器と空調設備を連成した空調システムの開発」、②「冷涼な外気を活用した潜熱・顕熱冷却空調方式の開発」、③「空調設備の保全データの定量化と室温変化を伴う信頼性評価ツールの開発」、④「置換換気空調方式の温度成層形成要因のモデル化と予測手法の開発」の4つの課題について、適応範囲、構成基準、その対策と効果を定量的に明らかにし、実用性の高い成果として取り纏めるものであり、今後の生産施設用空調方式の研究開発をリードすることを目的にする。 高発熱機器が収容される代表的な生産施設はデータセンタ(DC)である。IT機器を多数収容したDCは、1kW/m2を超える発熱密度に達し、年間を通じ冷却がと同時に、空調設備は高い省エネルギー性を求められる。また、空調設備が停止すると短時間で室温が上昇し、IT機器の誤動作だけでなく部品の熱破壊が生じ、甚大な障害をもたらす。空調設備の停止は、社会システムの混乱だけでなく、事業の損失につながるため、適正な信頼度設計を実現する。 一方、生産施設には多種多様なものがあり、施設内に設置される工作機器類から排熱とオイルミストなどの汚染物質を多量に発生している生産施設が多い。特に、精密部品を製造する施設では、製品の精度確保のため、安定した室内温熱環境も確保しなければならない。また、労働環境確保のため、大量の外気を導入しており、空調負荷の増大を招いている。このような状況から、安定した室内温熱環境・空気清浄度を確保しながら、高効率な空調方式を実現する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.空調効率の決定要因解明とIT機器と空調設備を錬成した空調方式の開発 データセンタ(DC)内にはラック内に多数のユニットが搭載されたIT機器が列状に配置される。DCの空調効率は、熱源系の冷却効率と空気などの冷媒の熱搬送効率で決定される。特に空調機の熱搬送効率は、ラック周囲の再循環が大きく左右する。本研究では、①ラックに搭載されるユニット周囲の隙間量と再循環量の関係、②ユニットの給排気を分離するキャッピング機構の通気性能と再循環量の関係について、実大規模実験、CFD(computational fluid dynamics)ツールによる解析、および換気回路網解析により、各種要因と空調用エネルギー消費量の関係を練成して解析する手法を構築し高効率なDC用空調システムを開発に資する特性を把握した。 2.空調設備の保全データの定量化と室温変化に伴う信頼性評価ツールの開発 空調設備の信頼性評価には構成する各機器の平均故障率(MTBF)、平均修理時間(MTTR)が必要である。本研究では、①DCで実際に稼動している空調設備の保全データ(故障毎の故障間隔・修理時間)を多数収集し、これらの保全データをワイブル確率紙にプロットし、回帰直線の係数から平均故障間隔(MTBF)を得る。また、対数正規確率紙にプロットし、その回帰直線の係数から平均修理時間(MTTR)を得る方法を確立した。②これらの基礎データをもとに、評価対象設備の挙動をマルコフモデルで表現し、各状態の確率を求め、一定時間を超えてその状態にとどまる事象の発生確率を評価する手法を構築した。これにより、空調機停止後の室温変化・空調機の能力変化を考慮し、外気冷房方式など複雑な空調設備の信頼性評価ツールを開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.冷涼な外気を活用した潜熱・顕熱冷却空調方式の開発 高発熱のDCの冷却には、冷涼な外気を活用することが有効である。本研究では、①空調機内にダブルの熱交換器を設置し、一方は冷水チラーからの冷水を、他方にはブラインを室外機との間で循環させる「間接外気冷房方式」に関し、実大規模の実証実験をするとともに、空調設備のシステムシミュレーションにより、システム効率の推定方法を構築し、顕熱冷却空調式を開発する。②散水方式による気化冷却方式により冷涼な外気の活用する方式に関し、空調設備のシステムシミュレーションにより、冷却特性を評価する手法を構築し、潜熱冷却空調方式を開発する。 2.置換換気空調方式の温度成層形成要因のモデル化と予測手法の開発 生産施設における高発熱機器からの排熱はプルームにより拡散する。また、その排熱や汚染物質の排出はファンによる強制排気が多く、排出位置も個々に異なる点が特徴的である。本研究では、①縮小模型を用い置換換気の空調給気量、機器換気量、排熱高さ、発熱量、天井高さなどの各パラメータと、機器が設置される領域の温度分布の関係を実験的に解明し、領域の基準化温度差比kvを用い、アルキメデス数との関係を明確にする。②基準化温度差比kvを用い外気冷房併用型置換還気方式のモデルを構築する。これを用いることで、建物条件、気象条件、室内の機器設置条件が変化した場合の空調設備のシステムシミュレーションが可能になり、各種条件での省エネルギー効果の予測手法を開発する。
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