2018 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮半島の冷戦下都市復興における東西建設援助の建築史的研究
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18H01616
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
谷川 竜一 金沢大学, 新学術創成研究機構, 助教 (10396913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川喜田 敦子 中央大学, 文学部, 教授 (80396837)
冨田 英夫 九州産業大学, 建築都市工学部, 准教授 (80353316)
前川 愛 京都外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師 (30506796)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 北朝鮮 / 韓国 / 冷戦 / 開発援助 / 戦後賠償 / 植民地 / 都市復興 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、朝鮮戦争後の北朝鮮・韓国でなされた東西両陣営による建設援助の実相を解明し、それらが第二次大戦後の戦災都市復興や冷戦下の国際援助競争のなかで定型化してきた歴史的手法であることを実証的に解明する都市・建築史研究である。 研究開始年度である本年は、特に開発援助の背景となる朝鮮半島の植民地時代の都市基盤施設の分析も行い、北朝鮮地域に関する分析を進めることができた。また、韓国側に関しては戦後の製鉄所やダム関連の開発援助資料を収集することができた。加えて、旧ソビエトによる開発援助資料の捜索、西側(特に日本)のアジア都市開発援助の整理なども一定の進展をみた。ロシアやドイツ、ウクライナ、ベラルーシ、チェコなどで海外調査を展開し、多くの資料や情報を得ており、これら資料の分析を継続的に進めている。 研究成果に関しても、前課題からの継続的なテーマであるというアドバンテージを活かし、北朝鮮の都市基盤施設に関する論文、国際シンポジウム・国際学会における平壌及び咸興に関する論文をそれぞれ1本ずつ出すことができた。本研究グループが主催した学術セミナーも6月に開催し、研究成果の還元も初年度より務めている。 当該年度後半には分担者を一名加え、旧ソ連による東側諸国に対するアジア地域に対する都市計画関与などに関する研究体制を厚くすることができた。以上のように多様な資料・情報を収集し、研究の広さと深度を担保しつつ、研究を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は概ね順調に進展していると考えている。ただし、資料や分析しなければならない情報が多く、予想していたスピードでは進捗していない部分がある。これは研究体制を充実させるとともに、研究対象を絞ることにより、プライオリティをつけて進めている。全体として見れば順調に海外調査を展開できたと同時に、研究グループ内でも役割分担などをはっきりさせると同時に、資料や情報共有をしながら進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
対象時期が冷戦期という比較的新しい時代であるため、新鮮かつ多数ある情報に対してどのように軽重をつけて扱えばよいかという点について、難しさを感じている。こうした点に鑑み、1)前時代である植民地期との対象地域における連続性と断絶を意識するとともに、2)政治・経済史や地域研究などの建築・都市史をとりまく学問との連続性をより意識して研究をすることとしたい。 この観点に絞ることで、観点毎に情報を対応させ、選別しながら、研究深度と速度確保したいと考えている。次年度はそうした点を意識しつつ、初年度の研究成果をまとめていくとともに、本課題の核心である「建設援助技法の歴史性の解明」を進めたい。
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Research Products
(7 results)