2019 Fiscal Year Annual Research Report
燃料濃度場・速度場同時計測による超音速縦渦混合過程の解明と混合促進法の提案
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18H01626
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
新井 隆景 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10175945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 昇史 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70244655)
比江島 俊彦 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (60316007)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 超音速混合 / 超音速縦渦 / スクラムジェット / PIV / LIF |
Outline of Annual Research Achievements |
スクラムジェットエンジン開発に必須の超音速混合技術の確立と超音速乱流混合過程の解明を行う.LIF(レーザ励起蛍光法)とPIV(粒子追従速度計測法)を組み合わせ,超音速混合場の燃料濃度場と速度場の同時計測を行う.これまでは,濃度場と速度場を個別に測定しており,それらの関連性が重要にもかかわらず,十分に明らかにされていない.申請者らは,ヨウ素のLIF画像をPIVの粒子画像と見なすことで,濃度場と速度場の同時計測を可能とする手法を提案した.以降この手法をLIF-PIV法と呼ぶことにする.2018年度は、PIVシステムのヴェージョンアップを行い、測定精度が格段に上がることが確認した.2019年度はヨウ素のLIF画像をPIVのデータ画像として認識できるかどうかを確認した.具体的には,LIF-PIV法で得られた混合速度場と通常のPIVシステム(トレーサ粒子にステアリン酸の微粒子)を用いて得られた混合速度場を比較した.定性的な流れ場の様相はほぼ一致することが確認できた.次に,実際の混合場の定量的な評価を行った.混合開始直後では,LIF-PIV法の測定結果と通常のPIVシステムの測定結果には差があるが,混合が進行するにつれて,その差が少なるなることが明らかとなった.すなわち,LIF-PIV法と通常のPIVシステムの測定結果を比較することで,混合状態の評価が可能であることを示した.また,LIFの画像からは,擬似燃料の濃度がおおよそ推定できるので,擬似燃料の空間分布が推定でき,燃料の流動を明らかにした. 濃度場情報から速度場をもとめる手法は申請者の独創的なアイデアであり,今後,この手法を用いて.縦渦導入装置を改良し,より強い縦渦を流れ場に導入したときに,流れ場(速度場,濃度場)がどのように変化するか調査し,より,混合能の高い縦渦導入装置を開発する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PIVシステムの高度化を行い,測定精度の向上図り,時間平均場だけでなく、速度変動場の情報も精度よく得られ,これを用いて,超音速乱流混合の乱流特性(乱れ強さ,乱れの相関:レイノルズ応力)が測定でき,混合の促進機構がせん断層の不安定性に強く依存する結果を得た.また,その不安定性が顕著な空間分布を明らかにすることができた.LIF画像をPIVシステムの画像として使用することができ,濃度場と速度場の同時計測,さらには,通常のPIVで得られた速度場とLIF-PIVで得られた速度場の比較が混合評価に使用できることを示した. このように,混合場の評価手法はおおむね確立できたと考えている.今後はこの手法を用いいて,より混合能の高い縦渦導入装置,並びに燃料噴射方法の検討を行っていく.数値計算では,Large- Eddy手法を用いて,超音速混合場の非定常計算手法をおおむね確立した.その結果,縦渦の崩壊過程の詳細が明らかになりつつある.今後は,この計算結果と熱線やPIVの計測による乱流特性との比較をおこない,流れ場の詳細を理解する必要がある. 以上のように、PIVシステムを用いた超音速流れ場の解明については、順調にすすんでおり、乱流特性などの情報も得られ、LIFと数値計算でも着実に進めていることから、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績,研究の進捗状況の説明でも述べたように,LIF-PIV法による濃度場,速度場同時計測が混合場の評価に使えることが判明した.今後は,より,混合能の高い縦渦導入装置の開発と燃料噴射方法を検討する. 現在使用している,縦渦導入装置について,より強い縦渦を導入し,その効果を,LIF-PIV法,PIV法,熱線計測,シュリーレン法による流れの可視化,数値計算を組み合わせ,現象の解明をおこなう.昨年度に引き続き,縦渦導入デバイスには、後退角を付与したハイパーミキサータイプを使用し、圧縮ランプ角,膨張ランプ角,圧縮ランプの後退角等をパラメトリックに変化させ,燃料混合の様相と流れ場を計測し,超音速混合に適した燃料噴射装置を特定する. 上述の実験結果の考察ならびに乱流混合機構の考察において,混合場,流れ場の詳細の把握が必要である.そのために,実験では捕えきれない現象についてCFD結果を補完的に用いて考察する.
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Research Products
(11 results)