2019 Fiscal Year Annual Research Report
Nonlinear Effects due to Variations of Volume and Configuration and Scale Effects of Airchamber of OWC Type WECs
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18H01646
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
居駒 知樹 日本大学, 理工学部, 教授 (50302625)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 振動水柱 / プロジェクティングウォール / 波力発電 / 空気室 / 圧縮性 / 粘性 / 強制動揺実験 / ポテンシャル理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は振動水柱(OWC)型波力発電装置の波パワー変換性能に対して,波・空気・構造物とさらに浮体システムの場合には構造物の運動・挙動の相互影響に含まれる“不確かさ=空気室の縮尺影響”を明らかにすることである。また,その成果を実設計に反映させる方法を提示することである。具体的な目標は下記である。 1)流体と空気の縮尺影響の原因を明らかにする 2)縮尺影響をパワー変換特性の理論的・数値的予測に組み込む方法の提示 3)以上のことを浮体システムについても考慮する これらに対して,強制動揺試験による実験データの継続取得を行うと共に,線形化された圧縮性空気を考慮した理論解析法による予測についての限界を見極める数値実験を実施した。 模型実験では矩形と同体積であるが,オリフィスによるダンピングの考慮ではなくマニホールドとノズルによる空気の流入口を再現し,空気室内での不要な渦生成による減衰影響増大についての影響を調べた。また,それらの結果と前述の理論計算法との結果を比較した。これらの結果から当初の予想通り,空気室の形状による波パワー吸収性能の違いは顕著に現れた。そして,理論計算結果との比較から高周波数領域,すなわち空気の流入速度の上昇する領域では若干の位相ずれが見られることから空気の圧縮影響と推察されたが,その量は大きくない。あくまでも空気室内部の形状とそれによる渦特性の影響によると思われる。なぜならば,同体積で空気室高さを変化させるだけではパワー吸収特性に変化が見られなかったからである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定ではCFD計算を実施すると共に,浮体システムでの検討も含まれていた。今年度にそこまで着手する予定であったが,強制動揺実験の準備と理論計算のチェック等の件数が多かったために,浮体システムを検討するための模型設計まで進めなかった。また,CFD計算についてもMPS法および汎用ソフトの併用を検討したが,MPS法での計算を実現するためのカスタマイズは現時点では時間的に困難であるとの判断を得た。特に振動問題の定常状態を確保するまでの計算時間の問題が大きい。そして熱流体汎用ソフトについては,すでに利用は始めているが,結果を考察するまでに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にはCFD計算による空気および空気室特性の検証を行うと共に,ポテンシャル理論を併用した方法への合理的予測法の提案まで進める。また,浮体システムについては2質点の動吸振子のモデルを併用した振動特性の把握を浮体問題に適用して簡易的かつ合理的な振動特性把握と,ここまでに得られた空気室の取り扱いを含めたパワー吸収特性の評価を行う。 スケール影響については模型実験結果のまとめから実機スケールへの適用を考慮した場合の取り扱いを検討する。その際に,CFD計算結果を用いながら提案の妥当性を検証する。ポテンシャル理論をベースとした理論計算法には空気モデル(状態方程式を含めた)の再検討を行い,より精度の高い波パワー吸収影響を考慮した流体力解析プログラムへ修正する。 これらの成果を統合しながら空気室特性に対する圧縮影響,粘性影響とスケール影響を総合的にとりまとめて,模型実験結果による実機スケールの設計法についての留意点等を提示する。
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