2018 Fiscal Year Annual Research Report
Representations and calculations of uncertainty for decision aid considering human factors and utilization of ambiguity
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18H01658
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
乾口 雅弘 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60193570)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ロバスト最適解 / 不確実性 / イルノウン集合 / 階層的意思決定法 / 線形計画法 / 匿名化 / プライバシー保護 / 不精密ルール |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) パラメータの変動範囲や値の満足領域を高次のファジィ集合で表すのではなく,最小に見積もった範囲と最大に見積もった範囲の二つ,あるいは,中程度に見積もった範囲を加えた,たかだか三つの集合のみで不確かさを表現するアプローチについて考究した. (1-a) 線形計画問題で,係数が想定内で変動しても十分満足できるロバストな解を求める際に,変動範囲と対応する希求水準をどう定めるかが問題となる.これを解決するため,変動範囲と希求水準の対を最低限必要なレベルから満足できるレベルまで階層的に与えることにより,決定者のロバスト性に対する要求が直感的に反映できる方法を提案した.この最適解が線形計画問題を逐次解くことにより求められることを示した. (1-b) 複数の決定者から得られた最小範囲と最大範囲の情報を用いて,取りうる範囲を度合付き集合の集まりで表現する方法を議論し,階層的意思決定法への適用を試みた.従来,各区間重みベクトルに対して,与えた情報と合致する決定者数の割合により整合度が定められてきたが,より簡便に線形的に扱うため,与えた情報からの乖離度で整合度を定める方法を検討した.代替案対の選好度合が線形計画法で求められることを示した.また,台形型ファジィ数を用いる方法との相違を考察した. (2) 不精密ルールを利用したプライバシー保護法について考究した.3クラス以上の分類問題に対して,不精密ルールによるデータ表の4種類の匿名化手法を提案し,有用性を検討するとともに4手法を比較した.予想通りよりデータをより不明確化した方がプライバシー保護性能が高く,匿名化されたデータ表から求められるルールの有用性は低くなった.また,Mondrian法による匿名化と比較した結果,提案法はプライバシー保護性能ではある程度劣るものの,データ表から抽出されるルールの有用性が十分高くなることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1-a)の課題に関しては,得られた成果を国際会議で口頭発表を行ったものの,当初の予定した論文投稿に至らなかった.一方,(2)の課題では,得られた成果を国際会議で発表するとともに論文投稿もできた.(1-b)に関しては,より具体的な問題で有用な研究となるように,課題を修正できた.以上より,予定より進まなかった分と予定以上に進んだ分を相殺して,おおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
(1) パラメータの変動範囲や値の満足領域を最小に見積もった範囲と最大に見積もった範囲の二つ,あるいは,中程度に見積もった範囲を加えた三つの集合のみで不確かさを表現するアプローチについては、次の二つを行う方針である. (1-a) 線形計画問題のロバストな解を求める際に,変動範囲と対応する希求水準を適切に求める方法に関しては、得られている成果を学術論文として纏めることを第1とする.この際、拡張やシステム化も考察する. (1-b) 複数の決定者から得られた最小範囲と最大範囲の情報を用いた階層的意思決定法への適用については,いくつかの視点があることを認識したので,それらについて整理し,モデルの精緻化を試みる.この方法は取りうる範囲に関する融通性の高い弱い情報を用いるので,複数の決定者のコンセンサスが得られやすくなると期待される.決定者からの情報が互いに矛盾している場合の扱いが鍵となり,それに注意を払い,モデル構築を進める. (2) 不精密ルールの利用に関しては,2クラス分類問題が扱える方法を考案する.データ表から抽出したルールにより,クラス細分を通した利用を検討しているが、組合せ数が多大になる問題も予想され、それをどのように扱っていくかが課題となる.また、余力があれば,多ラベル分類問題の不精密ルールの考え方による取り扱いも考察する.
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