2019 Fiscal Year Annual Research Report
Advanced use of trade statistics based on data fusion
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18H01659
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
布施 正暁 広島大学, 工学研究科, 准教授 (70415743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬谷 創 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20584296)
坂本 将吾 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 主任研究員 (50580057)
塚井 誠人 広島大学, 工学研究科, 准教授 (70304409)
力石 真 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (90585845)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 貿易統計 / 不整合問題 / Data Fusion / 機械学習 / 異常検知 / 欠損値処理 / 多重補完法 / ネットワーク理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,貿易統計の高度活用としてData Fusionに基づく貿易統計から真の貿易量を効率的に作成する方法を確立するため,令和元年度では,平成30年度に開発した貿易統計がもつ不整合問題の発生機構を解明する方法を改良した.平成30年度に開発した統計モデル法は,機械学習に基づく異常検知と多重補完法に基づく欠損値処理の分析フレームを併用することで,不整合要因を特定,定量化するものである.令和元年度は,不整合要因をツリー構造で整理することで統計モデル法の一般化と簡易化し,その計算プログラムを実装した.これにより,世界各国の貿易統計が格納する5000品目の輸出入データについて,その不整合要因を定量的に評価することを可能にした. さらに平成30年度に引き続き,各国が整備する貿易統計のData Fusion技術の開発を行った.基盤技術として,昨平成30年度に開発した,ネットワーク理論と欠損値補完の分析枠組みにより輸出国・輸入国が報告する貿易数量・金額を効率的に活用できる国間貿易量推計法を中古車貿易に適用した.ネットワーク理論により経由貿易を識別し,さらに,異常値として検知した貿易量を欠損値として扱い,金額もしくは相手国数量データで欠損値補完することで,中古車の国間貿易量の推計が可能であることを実証した.また,本研究が注目するエネルギー・環境・資源リスクに影響を与える水銀に着目し,貿易統計の不整合問題がフィリピンの水銀のマテリアルフロー(ライフサイクルフロー)に与える影響を評価した.結果として,水銀は密輸または歯科用アマルガムとして輸入されることで貿易統計の不整合問題が生じ,不整合問題により小規模金採掘から水銀大気放出量を過少に見積もる可能性を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,貿易統計の高度活用としてData Fusionに基づく貿易統計から真の貿易量を効率的に作成する方法を確立するため,研究課題1の貿易統計の不整合発生機構の解明,研究課題2の各国貿易統計のData Fusion技術の構築,研究課題3のエネルギー・環境・資源リスクに関わる貿易影響評価への適用,を実施する研究計画をもつ.各研究課題の令和元年度の進捗状況を説明する.研究課題1では,平成30年度に開発した異常検知と欠損値処理を併用した不整合発生機構を解明する統計モデル法を改良した.改良点として,貿易統計のようなビックデータに適用できるように統計モデル法を一般化,簡易化することで,計算プログラムを実装した.これにより,世界各国の貿易統計がもつ不整合要因の定量化を可能にした.続いて,研究課題2では,Data Fusion技術の進捗として,平成30年度に開発したネットワーク理論と欠損値補完による国間貿易量推計法を中古車貿易に適用した.輸出国・輸入国が報告する貿易数量・金額を効率的に活用することで,従来に未知であった経由貿易に潜む新の貿易量の推計に成功するとともに,欠損値補完の推計精度に大きく影響し,その高精度がData Fusion技術としての課題として抽出された.最後に,研究課題3の進捗として,エネルギー・環境・資源リスクに影響を与える水銀を対象に貿易統計の不整合問題がフィリピンの水銀のマテリアルフローに与える影響を評価した.結果として,密輸や品目変更による不整合問題を確認するとともに,水銀の大気排出量を過少に見積もる可能性を明らかにした.以上より,本研究の進捗は順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度の研究推進方策を述べる.研究課題1の貿易統計の不整合発生機構の解明については,令和元年度に改良した貿易モデル法を実際の各国貿易統計に適用し,不整合発生機構の解明を試みる.さらに,得られた知見を基に貿易統計の不整合問題を再定義する.研究課題2の各国貿易統計の Data Fusion技術の構築については,ネットワーク理論を活用した経由貿易に関するData Fusion技術を開発する.ここでは,交通工学で使用される交通配分計算から純流動から総流動を推定する方法についてネットワーク理論との併用も含めて,その適用可能を検証する.研究課題3のエネルギー・環境・資源に関わる貿易影響評価への適用については,エネルギー・環境リスクに関わる貿易統計の不整合評価を進める.さらに,貿易統計の不整合問題がエネルギー・環境・資源リスクの与える影響を途上国を対象にした水銀のマテリアルフロー分析より明らかにする.
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Research Products
(4 results)