2018 Fiscal Year Annual Research Report
人の流れに着目した都市インフラの適正配置と運用に関する数理モデルの開発とその応用
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18H01661
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田中 健一 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (90408724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥海 重喜 中央大学, 理工学部, 准教授 (60455441)
古田 壮宏 奈良教育大学, 教育連携講座, 准教授 (60453825)
小市 俊悟 南山大学, 理工学部, 准教授 (50513602)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インフラ / 施設配置問題 / フロー捕捉型配置問題 / 数理最適化 / スケジューリング |
Outline of Annual Research Achievements |
ネットワーク型の都市インフラとして道路網と鉄道網を想定し,歩行者および車両・電車利用者のネットワーク上の流れに対する施設配置問題を構築した.数理モデル化に際し,移動経路上に施設が存在するような移動者の総流量を最大化するように,ネットワーク上に施設を配置することを目的としたフロー捕捉型配置問題を土台として,その拡張モデルを構築した.道路網上の人や車両の流れに対しては,施設を通過した移動者が,施設サービスを受けられない確率を導入して,移動の起点から施設までの距離の総和の期待値を最小化する施設の配置方法を決定するための最適化モデルを定式化した.このモデルは,サービスを受ける場所が移動の起点に近いほど望ましい状況に当てはまる汎用性の高い枠組みである.さらに,フロー捕捉型配置問題における移動の起点や終点が,道路リンクに沿って連続的に分布する状況を前提として拡張モデルを構築した.これまでのフロー捕捉型配置問題の既存研究では,移動需要はネットワークのノード間で発生・集中するものと仮定されていたが,居住地や施設はリンクに沿って連続的に分布していると考えることができる.このような一般化は世界的にも初めてのことであり,本拡張には大きな意義がある.さらに,鉄道利用者に着目したフロー捕捉型配置問題の一般化モデルを構築した.鉄道利用者にとって,移動の出発駅や目的駅,乗換駅は,経路上で通過する他の駅と比較してアクセスし易いため,施設の配置駅としてはこうした駅の方が望ましい.この構造を考慮して,通過する駅の種類に応じた立ち寄り易さの違いを考慮した一般化モデルを構築し,首都圏鉄道網の実流動データに適用し最適配置駅の分析を行った.さらに,移動パターンを可視化する手法の開発,道路補修のスケジューリングに関する最適化モデルの構築,エネルギーの海上輸送方法を評価・決定するための数理モデルの開発等を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ネットワーク型インフラの代表例である,道路網と鉄道網上の人の流れに着目し,フロー捕捉型配置問題としての新しい数理モデルを複数構築することに成功した.これらには,移動経路上に存在する施設を通り過ぎる際にサービスを受けられる確率を考慮した一般化,鉄道利用者の行動に着目した一般化,移動の起点や終点をネットワーク上で連続的に与えた下での拡張モデルなど,これまでにない新しい視点が取り入れられている.また,モデルを実データに適用した実証研究を行い,モデルの応用可能性についても検証を行った.他のテーマについても順調に進展しており,本年度は有用な成果が得られたと考える.こうした成果は,学術雑誌や国際会議をはじめとする数多くの場で発表済みであり,当初計画以上に順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
都市における種々の施設の配置問題やネットワーク型インフラの設計・運用に関する数理モデルをさらに発展させ,理論と応用の両面から新しい成果を追求する.特に,フロー捕捉型配置問題のさらなる展開については,数多くの独自モデル開発をさらに推進する.また,一日単位の人の流れに着目した施設配置・運営モデルの新展開,需要の変動に着目した都市インフラの設計・維持管理モデルについても研究を進める.また,得られた成果を論文誌や国際会議等で積極的に発表していく.
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