2018 Fiscal Year Annual Research Report
Seismic Performance Improvement of System Truss Roof Structures for Disaster Shelter
Project/Area Number |
18H01676
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹内 徹 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (80361757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 良太 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (00624397)
熊谷 知彦 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (70376945)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 防災 / 地震被害 / 学校体育館 / システムトラス / 避難所 / 崩壊解析 / 座屈 / 破断 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年の熊本地震では,災害時に避難施設として重要な機能を持つ複数のシステムトラス学校体育館において多くの部材が座屈・破断に達し,その一部が床面に落下するとともに崩落に近い状態に至る事故が発生した。本研究では,実験・解析によりシステムトラス屋根構造の部材座屈・破断後の破壊メカニズムを明らかにし,過大地震入力時において特定部材の座屈・破断を生じた後も屋根全体の崩落を防ぐ靭性型システムトラス設計法の確立を目標とし,下部支持構造や支承部へのエネルギー吸収要素の導入を含む経済的な耐震改修・耐震設計手法の確立,および地震直後の危険性を即時判断するための遠隔型損傷モニタリング技術の開発を試みるものである。
初年度であるH30年度では2016年熊本地震で被害を受けた2つの体育館(熊本高校体育館,熊本工業高校第一体育館)を想定し,同建物モデルにおける地震応答特性の分析と崩壊メカニズムの分析を行った。具体的には各鋼管トラス部材の座屈後履歴および低サイクル疲労破断後の耐力消失を組み込んだ詳細な解析モデルを構築し、屋根を支持するRC架構と一体化した時刻歴応答解析を行った。その結果、熊本高校体育館に関しては、主に梁間方向のRC片持架構の振動応答によって支承部近傍の弦材・斜材がまず座屈し、屋根荷重の伝達経路が梁間方向から桁行方向に変化し、本来大きな力を受け持たない設計であった桁行部材に過大な引張力が加わり、ボルト破断・落下に至ったことが明らかになった。また、熊本工業高校第一体育館においては、妻面のRC片持架構の振動応答によってまず桁行部材が破断・落下し、近傍の圧縮部材が座屈、その後梁間方向の屋根架構自身の鉛直振動が励起されることで側面部材が座屈に至るメカニズムが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年の熊本地震で発生した2件のシステムトラス体育館の被害発生メカニズムが詳細な崩壊解析により明らかになったことで、申請時に計画した初年度(H30年度)の目的は概ね達成できたと考えている。また、解析の前提確認となるシステムトラス接合部の剛性・耐力実験並びにユニット座屈実験については試験体を既に製作済みであり、今年度実験を実施する予定となっている。
なお、次年度(R1年度)で計画していた課題の内、被害を防止するためのRC支持架構の設計指針案およびその効果、エネルギー吸収型支承部の効果検討については、初年度にある程度進捗しており、その一部を国際会議で発表している。
1) T.Kurata, S.Sawaki, Y Konishi, Y.Iwamoto, K.Nishimoto, X.Yan, T.Takeuchi:Design of gymnasium roof structure with enrgy-dissipation damper bearing, IASS2018, 2018.6
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Strategy for Future Research Activity |
今年度については、申請時の計画どおり、エネルギー吸収型支承部の検討・実用化に加え、セカンド・パスを考慮したシステムトラス屋根架構の設計法・構法の検討や、空間構造に組み込み可能なセルフセンタリング機能を有する軸力制震部材の検討を実施していく予定である。特にセルフセンタリング型座屈拘束ブレース(PT-BRB)はシステムトラス架構のみならず、ピン接合された骨組や立体架構の靭性設計に広く利用できる可能性があることから、部材実験を含む性能評価を試みる。
併せて、最終年度で計画した被災後の損傷度測定・評価システムの可能性について検討を開始したい。
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