2019 Fiscal Year Annual Research Report
120年雨量データベース構築と地理空間情報の統合化による水害常襲地のリスク評価
Project/Area Number |
18H01681
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 晴彦 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (40263800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒木 貴一 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (40325436)
朝位 孝二 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (70202570)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自然災害 / 地理空間情報 / 災害リスク / 水害 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年には、8月の秋雨前線豪雨に伴う佐賀県の六角川水系の洪水災害、10月には台風19号に伴う長野県の千曲川水系と福島県の阿武隈川水系の洪水災害が発生した。本科研費に大きく関与する災害であるため、この3箇所についても、①120年雨量データベースの構築とアメダスデータへの統合化に基づく再現確率(リターンピリオド)の解析、②地理空間情報の収集と統合化に基づく水害リスクの再評価についての研究を実施した。佐賀県の六角川水系の白石で37年の再現確率であったが、3時間降水量で210mmの豪雨と大潮により有明海の海水の遡上も重なり、六角川の水位が上昇して排水機場のポンプが稼働できず、堤防内の市街地に溜まった雨水が排水できずに内水氾濫が発生した。千曲川上流の佐久地方では10月12日の日降水量が300~400mmの豪雨となり、中流の立ヶ花水位観測所では翌日の13日3時20分に過去最高の12.46mの水位を観測した。これにより4km上流の長野市穂保地区では70mにわたり堤防が決壊して洪水流が堤内地に流れ込み、住家が流失や全壊する被害が発生した。氾濫平野の低平地に開設された新幹線車両センターでは、洪水流により10編成120車両が座席付近まで浸水して廃車となった。豊野地区では赤沼地区から千曲川支流の浅川の堤防を超えて流入してきた洪水流により、旧町役場一帯や新興住宅地で100~400cmの浸水被害が発生した。長野市北部(長沼、豊野、古里)の浸水面積は約934haに及び、2m以上の洪水浸水想定区域とほぼ一致した。この結果に基づいて、熊本市白川および延岡市北川の洪水災害と比較解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
熊本市白川および延岡市北川の洪水災害と比較解析には現地調査が不可欠であるが、2月~3月の調査が新型コロナウイルスによりできなかったことも影響し、研究の進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の本年度は、「③大規模水害地のリスク評価結果の公表と防災マップへの展開」を進める。ただし、新型コロナウイルスにより5月下旬時点で現地への出張が極めて困難な状況となっている。終息後は速やかに調査を進め、③と前年度に積み残した課題を実施し、研究の取りまとめを行う予定である。
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Research Products
(24 results)