2020 Fiscal Year Annual Research Report
磁場中共鳴非弾性X線散乱測定によるハーフメタル型ホイスラー合金の電子状態
Project/Area Number |
18H01690
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梅津 理恵 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (60422086)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ハーフメタル型強磁性体 / スピントロニクス / 電子状態 / 共鳴非弾性X線散乱 / 異方性磁気抵抗 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、Co2FeSi単結晶試料について軟X線共鳴非弾性X線散乱(RIXS)測定を行い、昨年度の予備実験の結果をもとに、FeのL端におけるRIXSスペクトルを、より入射エネルギーを細かく分割して詳細な測定を行った。RIXSは、内殻電子を共鳴励起させ、励起状態が緩和する過程で発生する散乱X線を分光することで、フェルミ面近傍の部分状態密度(DOS)を反映するようなスペクトルが得られる。入射エネルギーを選ぶことによって特定の元素の電子を励起させることができ、さらには、強磁性体では電子状態が交換分裂をしているため、左右円偏光によってスペクトル強度に差分が生じる(磁気円二色性:MCD)。よって、ハーフメタルであれば、フェルミ面直上の非占有状態から占有状態、そして終状態への緩和において、片側のバンドからだけに寄るスペクトルが得られることになる。 FeのL3端において明瞭なRIXS-MCDスペクトトルが観測された。特に、入射エネルギーhv = 707 eV近傍で得られるスペクトルでは、Energy Loss=0に観測される弾性散乱より非弾性散乱成分が連続的に繋がる様子が観測された。これは、フェルミ面上にFe-3dの比較的大きなDOSが存在することを示唆しており、電子相関を取入れない一般化勾配近似(GGA)法によるバンド構造を基にした計算スペクトルで、その性状がよく再現されることが分かった。 ハーフメタル型電子状態を有するホイスラー合金のRIXS-MCDにおける系統的な実験研究と計算スペクトルとの比較・検討により、フェルミ面近傍のDOSに関して詳細な議論が可能であることが本研究課題で明らかになった。本合金系の電子状態観測にRIXS測定が非常に有効であることから、今後とも関連研究を継続していくことが非常に重要である。
|
Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(11 results)
-
-
-
[Presentation] 直線偏光制御硬X線光電子分光によるホイスラー合金の価電子帯電子構造研究2021
Author(s)
西本幸平, 藤原秀紀, 濵本諭, 有長祐人, 姫野良介, 近藤佑宥, 木須孝幸, 中川広野, 山崎篤志, 中田惟奈, 今田真, 東谷篤志, 玉作賢治, 矢橋牧名, 石川哲也, 菅滋正, 梅津理恵, 関山明
Organizer
第34回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム
-
-
[Presentation] 磁場中共鳴非弾性軟X線散乱及び直線偏光制御硬X線光電子分光によるホイスラー合金Co2FeSiの価電子帯電子構造2020
Author(s)
西本幸平, 藤原秀紀, 濱本諭, 有長祐人, 近藤佑宥, 木須孝幸, 山神光平, 山添康介, 宮脇淳, 原田慈久, 山崎篤志, 今田真, 東谷篤志, 玉作賢治, 矢橋牧名, 石川哲也, 黒田文彬, 小口多美夫, 菅滋正, 梅津理恵, 関山明
Organizer
日本物理学会2020年秋季大会
-
[Presentation] 磁場中共鳴非弾性軟X線散乱によるホイスラー合金Co2MnSiのハーフメタル型電子構造の直接観測2020
Author(s)
藤原秀紀, 梅津理恵, 黒田文彬, 宮脇淳, 西本幸平, 樫内利幸, 関山明, 入澤明典, 藤井将, 小口多美夫, 原田慈久, 菅滋正
Organizer
日本物理学会2020年秋季大会
-
-
-
-
-