2018 Fiscal Year Annual Research Report
Improvement of thermoelectric properties by use of impurity states, and development of new high-performance thermoelectric materials
Project/Area Number |
18H01695
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
竹内 恒博 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00293655)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 電子構造 / スペクトル伝導度 / 第一原理計算 / 電子輸送現象 / 熱輸送 / フォノン分散 / 格子熱伝導度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高性能熱電材料を開発するための革新的技術として,元素置換により創製される不純物準位を用いた電子物性の最適化方法を確立する.これにより,申請者が提案し,かつ,その有効性を実験的に検証してきた熱電材料設計指針を高度化する.さらに,非調和格子振動により1Wm-1K-1以下の著しく小さな格子熱伝導度を示す材料群に対して,高度化した熱電材料設計指針を適用することで,多結晶状態でZT > 4.0を示す新しい熱電材料を創製することを目指す. 上記の研究を推進する上で,対象材料としてSi-Ge系ナノ結晶バルク材料と,(Ag,Cu)2(S,Se,Te)系材料を選択した.前者は,ナノ構造により1Wm-1K-1 程度の熱伝導度を示す.さらに,熱電材料として比較的広いエネルギーギャップを有することから,電子構造の予測と変調を比較的容易に行うことができる.後者については,非調和格子振動の影響で,0.5Wm-1K-1 の格子熱伝導度を示し,かつ.半導体的に電子構造を有している. 前者に対して.第一原理計算(バンド計算とクラスター計算)を駆使することで,n型材料ではFeを,p型材料ではNiあるいはAuを導入することが望ましいことを見出した.それぞれに対して適切な不純物元素濃度を電子構造計算から特定した後に,その量のFeあるいはAuを含む材料を作製した.その結果,n型材料でZT = 1.88を,p型材料でZT = 1.63を得るに至った. 次に,(Ag,Cu)2(S,Se,Te)系材料であるが,カルコゲンサイトの組成を調整することで,100℃以下の低温で,容易に ZT = 0.5を得ることに成功した.元素置換による電子構造の制御と,キャリア濃度の最適化により,さらなる高性能化が見込まれる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示した通り,本研究を提案した最に想定していた方法で,着実に高性能熱電材料を開発できている.また,本研究の目標とする性能を示すバルク材料を既に開発しており,現在,論文としてまとめている. これらの結果から,不純物準位による電子構造改質を用いた電子物性制御手法が極めて有効な熱電材料開発手法であることを示したとともに,実用化に著しく近い材料を創製できたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
「不純物準位による電子構造改質を用いた電子物性制御手法」が極めて有効な熱電材料開発手法であることを示す為には,より多くの材料系で高性能熱電材料を創製することが望ましい.現状では,Si-Ge系材料,Mn-Si系材料,(Ag,Cu)2(S,Se,Te)系材料で研究を進め,それぞれにおいて,良い成果を得ることができている.本手法を広く普及させる為には,開発事例を増やす必要があることから,上述した系意外で高性能熱電材料の創製を目指す.実用化の観点から,特に,より安価で,より環境に優しい系で,実用化に耐える熱電材料を創製することを目標とする.さらに,より需要の多い,100℃以下の廃熱を利用できる高性能材料の創製を目指す. 上記の目的を達成する為に,現在,フォノン分散,フォノン散乱の解析を進めている.3フォノンプロセスにおける有無クラップ散乱の確率を上げる材料設計指針を構築し,それも利用することを検討している.特に,フォノンによる熱伝導の波長依存性および自由行程依存性を解析することが重要である.超格子薄膜などの作製と時間領域サーモリフレクタンス報を利用した熱伝導度の測定や,第一原理計算と3フォノンプロセス計算の併用などにより,上記の解析が可能になる.これらを駆使することで,既存材料の性能を凌駕する材料の創製を行う計画である.
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Research Products
(32 results)
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[Journal Article] Discovery of Colossal Seebeck Effect in Metallic Cu2Se2019
Author(s)
D. Byeon, R. Sobota , K. Delime-Codrin, S. Choi, K. Hirata, M. Adachi, M. Kiyama, T. Matsuura, Y. Yamamoto, M. Matsunami, and T. Takeuchi
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 10
Pages: 72 1-7
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Thermal conductivity of Ta doped Fe2VAl/(Mo,W) superlattice thin films2018
Author(s)
Seongho Choi, Satoshi Hiroi, Shunsuke Nishino, Manabu Inukai, Okkyun Seo, Jae Myung Kim, Dogyun Byeon, Masashi Mikami, Masaharu Matsunami, Tsunehiro Takeuchi
Organizer
第15回日本熱電学会学術講演会(TSJ2018)(東北大学,青葉山キャンパス,2018/9/13)
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[Presentation] Thermal conductivity of Fe2VAl-based superlattice thin film2018
Author(s)
S. Choi, S. Hiroi, S. Nishino, M. Inukai, O. Seo, J. M. Kim, D. Byeon, M. Mikami, M. Matsunami, and T. Takeuchi
Organizer
The 37th | 16th International & European Conference on Thermoelectrics (ICT/ECT 2018) (Caen, France, 4th, 2018/7/4)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Self-tuning carrier concentration effect of noble metal chalcogenides2018
Author(s)
Dogyun Byeon, Robert Sobota, Kevin Delime-Codrin, Seongho Choi, Keisuke Hirata, Masahiro Adachi, Makoto Kiyama, Yoshiyuki Yamamoto, Takashi Matsuura, Masaharu Matsunami, Tsunehiro Takeuchi
Organizer
The 37th | 16th International & European Conference on Thermoelectrics (ICT/ECT 2018) (Caen, France, 2018/7/2)
Int'l Joint Research