2020 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ加工を用いた1次元量子ナノワイヤー熱電変換素子の巨大ゼーベック効果機構解明
Project/Area Number |
18H01698
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
長谷川 靖洋 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60334158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 彰 東京大学, 物性研究所, 助教 (20260515)
村田 正行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (80717695)
小峰 啓史 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (90361287)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノワイヤー熱電変換素子 / ナノ加工 / 電極 |
Outline of Annual Research Achievements |
石英ガラスに封入された単結晶Biナノワイヤー熱電変換素子の物性測定を行うために、集束イオンビームを用いたナノ加工を用いた局所電極形成による4端子測定を行ってきた。これまでに抵抗率,磁気抵抗,ホール係数測定など、等温条件下での物性測定を実施してきたが、ゼーベック係数やネルンスト係数などの温度勾配が存在する場での物性測定は困難であった。この問題を克服するために、ナノワイヤー素子の設置方法を検討し直し、数mmを有する石英ガラスの長さ方向に温度差を与え、長さ方向にゼーベック係数測定が可能であるかの検証を行った。本実験検討を行うため、量子効果の導入が期待されるワイヤー直径216nmのワイヤー直径を用意し、集束イオンビームを用いたナノ加工を進めた。 昨年度までは、ナノ加工を行った後、物性測定装置に設置した際、浮遊電位の影響でナノ加工部が破損することが明らかになっており、この問題を解決するために、電極を機械的に切り替える際、専用のスイッチング装置を導入し、電極切り替え時にスイッチングをアースに落とし、浮遊電位を完全に放電することで問題解決に至った。これまでにナノ加工後に電極不良が発生した理由が明確なり、且つ、その問題点を皆生することで、よりワイヤー径の小さなナノワイヤー熱電変換素子の測定を進めることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに開発した電極接合ナノ加工,プログラムによる電極切り替えのスイッチング機構などによって測定前の問題が解決でき、結果的に、ワイヤー直径216nmという量子効果が期待できるワイヤー径を用いても、側面に6箇所,端部に4箇所,合計10箇所のナノ局所電極を取り付けることに成功した。加えて、このサンプルを物性測定装置に設置する際、10箇所すべての電極がうまく動作することを確認し、測定が加工であることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
以上を受け、抵抗率,磁気抵抗,ホール係数などの電気物性測定に加えて、熱を使ったゼーベック係数の測定を進めることで、マクロな一般的なオーム則に拘わる物性測定を行っていく。加えて、ワイヤー径が小さくなると、キャリアの散乱機構が変化することが指摘されているため、各キャリア,フェルミポケット毎の散乱プロセスを考慮し、輸送特定を解明するような新しいモデル化を進めていく。
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Research Products
(4 results)