2018 Fiscal Year Annual Research Report
investigation of a new type of martensitic reversion from ferrite initial structure
Project/Area Number |
18H01729
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中田 伸生 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (50380580)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 鉄鋼材料 / 相変態 / マルテンサイト変態 / 逆変態 / 力学特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄鋼材料を加熱することで生じるbcc-fccマルテンサイト逆変態は,冷却で生じるfcc-bccマルテンサイト変態と同様に,鋼を容易に強靭化させる技術として利用されている.そして,このマルテンサイト逆変態では,変態前の下部組織を引継ぎながら,元々のオーステナイト結晶方位 が可逆的に復元されることが知られている.しかしながら,マルテンサイト逆変態を発現する鋼は本質的に焼入れ性が高く,これまでのbcc-fccマルテンサイト逆変態に関する研究は,下部組織を有するbcc-マルテンサイト(α’)を初期組織としたものに限られてきた.本申請課題では ,独自の組織制御技術を駆使して,下部組織を持たないbcc-フェライト(α)を初期組織とした場合に発現するbcc-fccマルテンサイト逆変態を調査することで,マルテンサイト逆変態の本質を解明するとともにその工業的な利用法を提案する. そこで,本年度はFe-8,16mass%合金を作製し,初期組織がラスマルテンサイトおよび再結晶フェライトの場合におけるbcc-fcc逆変態挙動についてフォーマスタ試験機を用いて最大加熱速度200℃/sまでの範囲で調査した.その結果,初期組織がラスマルテンサイトである場合,加熱速度200℃/sにおいて,Fe-8mass%Ni合金はマッシブ逆変態を示すのに対して,Fe-16mass%Ni合金ではマルテンサイト逆変態が発現することが明らかとなった.さらに,再結晶プロセスによって初期組織をフェライトとしたFe-16%Ni合金においても,マルテンサイト逆変態の発現を示唆する相変態挙動が確認され,その時の逆変態駆動力は500J/mol程度に達することがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標は初期組織がフェライトの場合におけるbcc-fccマルテンサイト逆変態の発現を確認することにあり,Fe-16mass%Ni合金において加熱速度200℃/sの条件下でその発現を強く示唆する結果が得られたため.
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Strategy for Future Research Activity |
初期組織をフェライトとして発現したbcc-fccマルテンサイト逆変態における組織形成メカニズムを解明するため,マルテンサイト逆変態後に急冷したFe-16mass%Ni合金に対して詳細な組織観察を実施する.具体的には,走査型電子顕微鏡を用いた電子線後方散乱法による結晶方位解析を行うことでマルテンサイト逆変態およびその後のマルテンサイト正変態に伴う結晶方位の可逆変化の有無を検証する.そして,透過型電子顕微鏡を用いて最終的に得られたマルテンサイトの下部組織を観察することで,bcc-fccマルテンサイト逆変態におけるバリアン ト形成を考察する.
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