2018 Fiscal Year Annual Research Report
無機ナノファイバーを利用した電解質ゲルの創製と界面機能の開拓
Project/Area Number |
18H01730
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 英俊 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (40345393)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノファイバー / 電解質 / ゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、無機ナノファイバーを利用した種々の電解液ゲル化の制御因子を体系的に調査することによって、ゲルの形成機構を明らかにするとともに、ゲルの骨格となるナノファイバー界面を利用した高機能化の指針を示すことである。 本年度は、エレクトロスピニングにより、ゾル・ゲル反応液からナノファイバーを紡糸し、焼成処理を行うことで繊維径約80~1000ナノメートルのシリカナノファイバーを作製した。得られたナノファイバーを機械的に粉砕処理することによって、数~数10 マイクロメートルの範囲で長さを制御できることを確認した。また、流動電位法を用いたゼータ電位測定により、得られたナノファイバーは表面にシラノール基を有することを確認した。このようなシリカナノファイバーはゲル化の対象となる液体分子に対して良好な分散性を示し、直径が小さく、アスペクト比がある程度大きなシリカナノファイバーを用いることで、水系溶媒においても有機系溶媒においても、増粘およびゲル化が可能であることを確認した。さらに試験管倒立法によってゲルと判断された試料について動的粘弾性測定を行なった結果、広い周波数域に渡って貯蔵弾性率が損失弾性率より大きくなる関係が得られ、レオロジー的にもゲルが形成されていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
繊維径を制御した無機ナノファイバーの作製と得られた無機ナノファイバーを用いた種々の液体のゲル化挙動の調査については概ね計画通りに進捗しているといえる。本年度は、ゲル化の対象となる液体分子と親和性を持ち、アスペクト比が十分に大きなナノファイバーを用いることで、水系溶媒においても有機系溶媒においても、ナノファイバー量の増加に伴って、液体中でネットワーク構造が形成されることで、液体粘度が増加し、ゲル化が進むことが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、散乱法を用いて、無機ナノファイバーを用いて作製したゲルのより詳細な内部構造解析を行う。さらに、分光学的な手法および熱分析法を用いて、ナノファイバー表面官能基と電解液中に含まれる分子間との相互作用や融解エンタルピーの評価を進め、ゲル内部における分子の存在状態やナノファイバー表面に働く相互作用を明らかし、レオロジー特性やイオン伝導性などゲルの物性と関係付けることで、ナノファイバーの界面が物性に与える影響を明らかにする。
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Research Products
(3 results)