2019 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of inorganic nanofiber electrolyte gels and exploration of their interfacial functions
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18H01730
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 英俊 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (40345393)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 無機ナノファイバー / 電解質 / ゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、電池デバイスの安全性向上のために電解質材料の固体化が求められている。代表者は、一次元ナノ材料が持つ網目構造(ネットワーク)形成能に注目し、剛直な無機ナノファイバーを電解液のゲル化剤として利用することで、1~2 vol%の少量の添加で電解液と同等のイオン伝導性を持つ電解質ゲルの作製が可能であることを見出している。本研究では、無機ナノファイバーを利用した種々の電解液ゲル化の制御因子を体系的に調査することによってゲルの形成機構を明らかにするとともに、ゲルの骨格であるナノファイバー界面を利用した高機能化の指針を示し、新規な高機能電解質ゲルを創製することを目的としている。 本年度は、前年度までに確立した無機ナノファイバーを利用したゲル作製技術に基づき、ゲル化剤としてシリカナノファイバーを用いて有機溶媒やイオン液体など種々の電解液のゲル化について検討を行い、作製したゲルの解析を進めた。フーリエ変換赤外吸収分光法(FT-IR)を用いた測定により、作製したゲルでは、シリカナノファイバー表面に存在するシラノール基や化学的に導入したアミノ基などの官能基と電解液中に含まれる分子の間に相互作用が形成されることが明らかになった。さらに示差走査熱量分析(DSC)を用いてゲルに含まれる電解液の熱物性の評価を行ったが、ゲル化前後で電解液の状態に大きな変化は見られなかった。イオン液体から作製したゲルについては、機械的により安定なゲルを作製するために、架橋剤を用いたゲル化後のイオン液体の高分子化についても検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、無機ナノファイバーを利用して種々の電解液からゲルを作製し、分光学的な手法および熱分析法を用いた電解質ゲルの構造解析を進めた。フーリエ変換赤外吸収分光法(FT-IR)による電解質ゲルの評価からは、シリカナノファイバーの表面官能基と電解液中に含まれる分子の間に相互作用が形成されていることが明らかになった。示差走査熱量分析(DSC)を用いた電解質ゲルの熱物性評価からは、ゲル化によってゲル中に含まれる電解液の状態は大きく変化しないことを確認した。研究は概ね計画通りに進捗しており、今後はこれまでに得られた結果とイオン伝導性などゲルの物性を関係付けることによって、ナノファイバーの界面による影響をより詳細に調査していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を基に実際に電気化学デバイスを作製・評価することによって、電解質ゲルの性能と安定性を評価する。具体的には、無機ナノファイバーを利用し、イオン液体や有機系電解液をゲル化することで電解質ゲルを作製する。これらのゲルを用いたキャパシタなどの蓄電デバイスを作製し、容量、レート特性、サイクル特性などの性能を評価する。また、電解質ゲルが電極界面に与える影響を明らかにするために、電気化学インピーダンス法を用いて、充放電サイクル試験後の電極界面の解析を行い、電解質ゲルにおける無機ナノファイバーの添加効果を明らかにする。さらに次年度は、研究員を雇用し研究の促進をはかる。また、これまでに得られた研究成果の学会発表および論文発表を進めていく。
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