2019 Fiscal Year Annual Research Report
Alフリー高強度Ni基耐熱合金の創成―六方(斜方)晶系金属間化合物の析出制御
Project/Area Number |
18H01731
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 覚 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (60455847)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 組織制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究では、ジェットエンジンや発電プラント用ガスタービンの高温化と製造性を両立する新たなAlフリー高強度Ni基耐熱鍛造合金の創成を目指し、熱的に安定なNi3M金属間化合物相(η-Ni3Ti(六方晶系)およびδ-Ni3(Nb, Mo)(斜方晶系))のγ-Ni(fcc)固溶体相との格子ミスフィット制御とそれによる析出制御基盤技術を構築する。 当該年度では、①Ni-Cr-Mo-Nb系におけるδ/γ2相間の広い組成範囲における相平衡の評価、②Ni-Cr-Mo-Ti系におけるη相の析出形態に及ぼすη/γ2相間の格子ミスフィットの影響の評価を実施した。
①では、Ni-Cr-Mo-Nb 4元系のCr濃度20at.%付近、900℃における相平衡を複合拡散対法を用いて実験的に調べ、(1)δ/γ2相域は約5 at.%のMo濃度まで拡張すること。(2)Moはδ/γ両相にほぼ等分配することを明らかにした。
②では、(1)γ/η相間の格子ミスフィットが比較的高いNi-Ti 2 元合金においては、900°C においては連続析出が優勢であるが,800°C においては粗いラメラ組織を形成する不連続析出が優勢となる.(2)同格子ミスフィットを低減した Ni-Ti-Mo 3 元合金においては,高温側では粒界移動の発生頻度は高まるが,両温度において連続析出が優勢となる.(3) 母相/析出相間の格子ミスフィットの低下は,連続析出の析出頻度・速度を増加させ,不連続析出に対する連続析出の競合性を高める効果を持つことが推察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度研究計画の一部(高温X線回折による格子ミスフィットの検証)が実施できなかった。本年度に実施予定であり、現状当該研究の遂行に支障はないと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度では、以下の研究を実施する予定である。 ①δ相の析出形態に及ぼすδ/γ2相間の格子ミスフィットの効果の評価:δ/γ2相間の格子ミスフィットの異なるNi-Cr-Mo-Nb系合金において、δ相の析出形態・速度に及ぼす同格子ミスフィットの効果を実験的に調べる。 ②η/γおよびδ/η2相間の高温における格子ミスフィットの評価・検証と析出制御:2相合金の室温X線回折と単相合金の熱膨張測定および高温X線測定により高温における格子ミスフィットの評価を行う。また,両金属間化合物相の析出形態に及ぼす格子ミスフィットの役割を整理し、従来知見を踏まえて、両相の析出による高温強化のための合金設計手法を提案する。
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