2018 Fiscal Year Annual Research Report
Measurement and formulation of the deformation behavior of thermoplastic polyetherester elastomer using biaxial stress tests
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18H01744
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
桑原 利彦 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 卓越教授 (60195609)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 二軸応力 / 材料試験 / 制御 / 大ひずみ / 塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
TPEE製押出円管材用のサーボ制御二軸バルジ試験機および計測・制御系の設計および製作を行った.プランジャーポンプにより試験片内に水圧を,シリンダにより試験片両端に軸力を加えることで,試験片中央部に任意の二軸応力を負荷することに成功した.本年度は,試験機の性能評価用材料として,内径13mm,肉厚2mmのポリエチレン製押出円管材を供試材とした. 応力の制御系においては,レーザ変位計によりバルジ変形中の試験片の直径を,またエリアカメラで撮影した画像からカメラコントローラにて試験片表面の三点の相互関係から管軸方向ひずみと管軸方向曲率半径を計測した.これらのデータはデジタル信号により取得される.さらにひずみの計測値から二軸バルジ変形中の円管試験片の中央部(応力測定部)における外径および肉厚を決定した.軸力と水圧はロードセルと水圧計でそれぞれ測定した.制御値の算出は,各測定系からの信号を一括して処理し,軸力と内圧をリアルタイム制御することにより,バルジ変形中の円管試験片に作用する応力成分σθとσφの比率が一定になるように制御した.応力比は,σθ:σφ=1:0,2:1,1:1,1:2,0:1の5通りとした. 実験結果としては,上記のいずれの応力比においても,測定された応力経路は,応力経路の指令値に対し概ね追従していることを確認した.これより,構築した応力制御システムにより任意の線形応力経路における供試材の塑性変形挙動を測定できることを確認した.最も大きなひずみを負荷することができたのは応力比 1:1 であり,円周方向対数ひずみが0.3までの応力-ひずみ曲線の測定に成功した.さらに,ミーゼスの相当ひずみ速度と相当ひずみの関係を調査した結果,測定域中では相当ひずみ速度が,いずれの応力比でもひずみ速度は概ね2×10^-3 s-1一定に維持されていることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の項で記載した通り,応力比σθ:σφ=1:0,2:1,1:1,1:2,0:1の5通りの実験に対して,測定された応力経路は,応力経路の指令値に対し概ね追従していることを確認した.さらにこれらの線形応力経路における供試材の真応力-対数塑性ひずみ曲線を測定できることを確認した.これは,構築したひずみ測定システムおよび応力制御システムが予想通りに正常に動作していることの証左である. このように研究計画通りの研究実績をあげることができたため上記のように判定した.
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Strategy for Future Research Activity |
1.TPEE用サーボ制御二軸バルジ試験機の計測・制御系を改良する.制御系にはLabVIEWを用い,制御性および操作性の向上を図る. 2.管軸方向応力が最大主応力になる場合に,供試材がチャックからはずれる不具合を解消するために,供試材の把持治具を改良する. 3.TPEE製円管試験片を製作する(素材は専業メーカから提供される.加工は外注する).肉厚が不均一である場合,肉厚の最も薄い部位に変形が集中し,試験片に付与できる最大ひずみ(破断限界ひずみ)は著しく低下する.そこで円管試験片の内外径を切削して円管試験片を製作する.これにより肉厚のばらつきを±2%未満に抑制でき,本研究目的の達成には十分な肉厚精度が保証される. 4.CCDカメラを用いたひずみ測定システム,ひずみ速度制御システム,応力経路制御用フィードバック制御回路の動作検証を行う.検証用の応力経路は,(管軸方向真応力):(円周方向真応力)=1:0,4:1,2:1,4:3,1:1,3:4,1:2,1:4,0:1の9経路とする.ひずみ速度はミーゼスの相当ひずみ換算で0.0001~0.01/sとする.試験中のひずみ速度が一定値に維持されるよう,軸力制御および内圧制御系のパラメータ調整を行う. 5.上記の9通りの線形応力経路を円管試験片に付与し,測定された真応力-対数ひずみ曲線に基づいて,二軸応力下における供試材の変形モデルを構築する.
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