2019 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウム電池における根源的課題への”めっき”からのアプローチ
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18H01751
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平藤 哲司 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (70208833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池之上 卓己 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (00633538)
三宅 正男 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (60361648)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 電析 / イオン液体 / 溶存酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機カチオン種が異なる4種のクロロアルミネート系イオン液体を用い、アルゴン雰囲気中と乾燥空気中でサイクリックボルタンメトリーおよび定電流電析を行い、溶存酸素がアルミニウムの電析挙動に及ぼす影響を明らかにするとともに、これに対するカチオン種の影響を調べた。その結果、サイクリックボルタンメトリーの際に観測される電流が、カチオン種がイミダゾリウムおよびピリジニウムの場合、乾燥空気中ではアルゴン中に比べて大きく低下するのに対して、カチオン種がピロリジニウムおよびアンモニウムの場合には、雰囲気の影響を大きく受けないことがわかった。定電流電析においても、カチオン種がイミダゾリウムおよびピリジニウムの場合は、乾燥空気中では、電極の一部にしか電析物が得られない電析不良を起こすのに対して、カチオン種がピロリジニウムやアンモニウムの場合には、乾燥空気中でもアルゴン中と同様に均一で平滑なアルミニウム膜が電析可能であることが明らかとなった。 この乾燥空気中での電析挙動の違いは、飽和溶存酸素量が異なることに起因する可能性を疑い、各カチオン種のイオン液体中での溶存酸素量を、マクロ電極およびマイクロ電極を用いた電気化学的手法により測定した。しかし、飽和溶存酸素量にカチオン種による顕著な違いはないことが明らかとなった。 溶存酸素がカソード還元されて生成するスーパーオキサイドが、有機カチオンを分解し、その分解生成物の電極への吸着が電析不良の原因と推察された。また、カチオン種によって、スーパーオキサイドとの反応性が異なることが、乾燥空気中でのアルミニウム電析の成否を決める要因と推察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸素存在下においても、良好なアルミニウム電析が可能な電解系を見つけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新しいアルミニウム電解液である深共晶溶媒についても、酸素存在下における電気化学挙動を調べる。また、分光学測定により、酸素の溶存化学種への作用を明らかにする。
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Research Products
(2 results)