2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Zn-polyethyleneimine-active metal nanoparticles composite films electrodeposited on steel sheets
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18H01753
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中野 博昭 九州大学, 工学研究院, 教授 (70325504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大上 悟 九州大学, 工学研究院, 助教 (90264085)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 複合電析 / 亜鉛 / ポリエチレンイミン / 分極曲線 / 結晶配向性 / 吸着能 |
Outline of Annual Research Achievements |
硫酸塩浴からの亜鉛―ポリエチレンイミン複合電析挙動とその電析膜の微細構造を調べた結果,以下のことが分かった。ポリエチレンイミンを添加した溶液で,電流密度が4000 A・m-2以上になると光沢のある外観が得られ,光沢は,分子量の大きい70000のものを添加した場合に最も高くなった。ポリエチレンイミンを添加すると,電析Znの優先配向面は{0001}面から{11・0},{10・0}面に変化し,ポリエチレンイミンの分子量および電流密度が高くなると,Znの板状結晶がより微細となった。Zn析出の部分分極曲線は,ポリエチレンイミンを添加すると分極しており,分極の程度は,分子量を70000と大きくすると高電流密度領域で特に大きくなった。ポリエチレンイミンの分子量,電流密度が大きくなるほど,電析膜中のC, Nの含有量は増加しており,陰極面へのポリエチレンイミンの吸着能が大きくなると考えられる。ポリエチレンイミンは,電析中の陰極界面のpHの上昇を若干抑制し,pH緩衝作用を示した。電析の際,陰極界面のpH上昇により,ポリエチレンイミンからH+が脱離することによりN原子の孤立電子対が増加し陰極面への吸着能が大きくなると考えられる。電析膜の硬度は,ポリエチレンイミンを添加することにより大きく増大した。硬度増大の程度は,分子量70000のものを添加した方が2000のものを添加した場合よりより顕著であった。ポリエチレンイミンの分子量70000の方が2000のものより,電析膜中のC, Nの含有量は多くなっており,このため,硬度はより大きくなったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機物を非懸濁溶液から複合電析させる研究は,これまでほとんど検討されていない。ポリエチレンイミンはエチレンイミンが重合した水溶性のポリマーで, 構造中に1級アミン, 2級アミン部位を多く持つため,カチオン密度が大きく, 高い反応性を持つ。本研究により,ポリエチレンイミンは,Zn電析時に陰極界面のpHが上昇すると脱プロトン化されてN原子の孤立電子対が増加するため,陰極面への吸着能が増加し,Znと共析するというメカニズムを明らかにすることができた。また,得られた電析膜の微細構造,特性を調査し,ポリエチレンイミンが電析膜に共析すると,電析膜の光沢,硬度が上昇するととが分かった。しかし,活性金属イオンとポリエチレンイミンを共存させると,溶液が懸濁するため,活性金属とポリエチレンイミンを共析させる研究はできなかった。次年度は,ポリエチレンイミンの代わりにポリエチレングリコールを用いて,活性金属とポリエチレングリコールの共析挙動を検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) Zn-PEG-活性金属酸化物微粒子の共析挙動の検討 : ZnSO4, Zr(SO4)2水溶液中にPEG(ポリエチレングリコール)の構造(分子量,複数の分子量の組み合わせ)を種々変化させたものを添加し,分極曲線を測定することにより,Zn析出およびZrO2共析に影響を及ぼすPEGの構造を明らかにする。に,各種複合電解浴(Zn-PEG-M,M: V, Al, Mg, Zr, Ce)からのZn析出, 水素発生の部分分極曲線を測定し,Zn, 水素,PEG,ナノ酸化物の析出挙動を平衡論および速度論的な観点から検討する。 (2) Zn-PEG-活性金属酸化物電析膜の微細構造解析: X線回折,SEM, EPMA, ESCAを用いて,PEGと活性金属酸化物の共析サイズ,分散状態,電析膜の結晶構造,配向性などを明らかにする。 (3) 電析膜の各種性能に及ぼすPEG, 酸化物ナノ微粒子共析の影響調査: 分極曲線,電気化学的インピーダンススペクトル測定により電析膜の耐食性を評価する。耐摩耗性は摩耗試験機にて,加工性は180°密着曲げにて,また塗装性は塗装後の耐食性,塗膜の密着性にてそれぞれ評価する。
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Research Products
(9 results)