2019 Fiscal Year Annual Research Report
CPP-GMR of Ferromagnetic Multilayered Nanowire Arrays with Large Aspect Ratio
Project/Area Number |
18H01754
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大貝 猛 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (60253481)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | パルス電解 / ナノワイヤー / 陰極電位 / スパッタリング / 成長速度 / ナノ細孔 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、陽極酸化アルミナテンプレート皮膜のナノ細孔中へ、Co/Cu系多層ナノワイヤー配列素子を合成することを目標とした。具体的には、電位制御型パルス電析法における最適条件の確立である。まず、サイクリックボルタンメトリー法により、広範囲の電位領域において、CuおよびCoの電析・溶解挙動を調査した。その結果、多層ナノワイヤー配列素子合成のための最適な陰極電位領域として、Cu層電析時には-0.40V vs.Ag/AgCl、Co層電析時には-1.05V vs.Ag/AgClであることが判明した。次に、前年度開発したナノチャンネル型アルミナ製メンブレンフィルターの片面に金薄膜をスパッタ成膜する際の最適条件を見出した。スパッタ電流10mA、スパッタ時間900sでナノ細孔を完全に密閉できることが判明した。その後、これを陰極材料として利用し、金線を陽極に配置後、硫酸コバルト(またはスルファミン酸コバルト)および硫酸銅を含む酸性水溶液中で電位制御型パルス電解を行い、ナノ細孔内へ強磁性層(Co:10nm)と非磁性層(Cu:10nm)とを交互積層させた。その結果、Co/Cu系多層ナノワイヤー配列素子(直径:約50nm、長さ:約50um)をナノ細孔中に電析させることに成功した。また、この際、クロノアンペロメトリー法により、応答パルス電流の経時変化をデータロガーにより追随し、平均積層厚さを算出・予測した。その結果、多層ナノワイヤーの成長速度を陰極電位により制御可能であることが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、サイクリックボルタンメトリー法により、広範囲の電位領域において、CuおよびCoの電析・溶解挙動を調査し、多層ナノワイヤー配列素子合成のための最適な陰極電位領域を決定できた。また、アルミナ製メンブレンフィルターの表面に金薄膜をスパッタ電流10mA、スパッタ時間900sで成膜すると、ナノ細孔を完全に密閉できることを解明した。更に、電位制御型パルス電解法により、Co/Cu系多層ナノワイヤー配列素子(直径:約50nm、長さ:約50um)をナノ細孔中に均質に電析させることに成功した。また、電析時の応答パルス電流の経時変化をデータロガーにより追随した結果、陰極電位の調整により、多層ナノワイヤーの成長速度を広範囲で制御可能であることが判明した。以上より、現在までの進捗状況はおおむね順調と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
Co/Cu系多層ナノワイヤー配列素子の合成に成功したので、今後は、得られた試料の相構成および組織観察を実施予定である。具体的には、X線回折法(XRD)および走査型電子顕微鏡(FE-SEM)や高分解能電子顕微鏡(HR-TEM)を駆使して、原子レベルでの積層構造を調査する。また、Co層とCu層との積層界面状態を改善するために、Coの再溶解抑制剤として、Niを合金化させたCoNi/Cu系多層ナノワイヤー配列素子の合成にも取り組む予定である。
|
Research Products
(11 results)