2020 Fiscal Year Annual Research Report
CPP-GMR of Ferromagnetic Multilayered Nanowire Arrays with Large Aspect Ratio
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18H01754
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大貝 猛 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (60253481)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パルス電解 / 陰極電位 / ナノ細孔 / 多層ナノワイヤー / TEM観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ナノ細孔中へパルス電析されたCo/Cu系多層ナノワイヤー配列素子の構成相の同定および多層構造の直接観察を実施し、積層状態に及ぼすパルス電解条件の影響を明確化することを目標とした。具体的には、X線回折法(XRD)および走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)を駆使して、Co層とCu層の積層状態に及ぼす陰極電位の影響を調査した。まず、陽極酸化アルミナ製ナノ細孔中へパルス電析されたCo/Cu系多層ナノワイヤー配列素子に対してX線回折実験を行った。その結果、hcp-Co(002)とfcc-Cu(111)に対応する回折ピークが同時に検出されたため、Co層とCu層は合金化せずに、2相分離した状態で存在していることが判明した。次に、陽極酸化アルミナ製ナノ細孔部分のみを溶解除去し、金属ナノワイヤー部分のみを回収するため、試料を水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬させた。得られた試料は純水中で超音波洗浄後、磁場を利用して回収し、TEM観察用のマイクログリッド上へ搭載した。その後、この試料をTEM観察した結果、金属ナノワイヤーの直径は、約50nm程度であり、陽極酸化アルミナ製ナノ細孔の直径と一致することが判明した。更に、金属ナノワイヤー中に、周期的な明暗の縞模様を確認した。この暗部は約10nm程度の層厚であり、一方、明部は約2nm程度の層厚であった。したがって、Co層厚約10nmおよびCu層厚約2nmから構成される周期的なCo/Cu積層構造が実現出来ていることが判明した。また、パルス電析時のCo層陰極電位(pulse on-time)を制御することにより、Co層厚は8~27nmの範囲で調整可能であることも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、X線回折法(XRD)および走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)を駆使して、CoとCuの積層状態を調査し、多層ナノワイヤー配列素子を電析可能な陰極電位領域を決定できた。また、アルミナ製メンブレンフィルター部分のみをアルカリ性水溶液中で溶解可能であることも判明し、試料にダメージを与えることなく、金属ナノワイヤー部分のみを回収出来ることを見出した。更に、電位制御型パルス電解法により、金属ナノワイヤー配列素子がCo層約10nmおよびCu層約2nmから構成される周期的なCo/Cu積層構造を有していることもTEMにより直接観察出来た。以上より、現在までの進捗状況はおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
電析金属ナノワイヤー配列素子が明瞭な積層構造を有していることが判明したので、今後は、得られた試料の直流磁化特性および磁気抵抗特性を評価予定である。具体的には、振動試料型磁力計(VSM)および微小電流印加型電気抵抗測定装置を駆使して、得られた試料の磁気特性を調査する。また、Co層とCu層との積層界面状態の改善策として、Coの再溶解抑制剤として期待できるNiを合金化させたCoNi/Cu系多層ナノワイヤー配列素子の合成にも取り組む予定である。
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Research Products
(11 results)