2021 Fiscal Year Annual Research Report
CPP-GMR of Ferromagnetic Multilayered Nanowire Arrays with Large Aspect Ratio
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18H01754
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大貝 猛 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (60253481)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パルス電解 / 陰極電位 / ナノ細孔 / 多層ナノワイヤー / TEM観察 / コバルト / 銅 / 巨大磁気抵抗効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、電析Co/Cu多層ナノワイヤー配列素子の磁気抵抗効果に及ぼすナノワイヤー直径サイズの影響を調査した。まず、陽極酸化電圧を20V~110Vの範囲で制御し、アルミナテンプレートの細孔径を35nm~130nmの範囲で変化させた。次に、この陽極酸化アルミナテンプレートの細孔中に、電位制御型パルス電解法を駆使して、Co/Cu多層ナノワイヤー配列素子を作製した。更に、陽極酸化アルミナテンプレートを溶解除去後、分離回収されたCo/Cu多層ナノワイヤーを透過型電子顕微鏡により観察した結果、Co層(約14nm)とCu層(約1.5nm)が交互に積層されたCo/Cu多層ナノワイヤーを確認した。また、このCo/Cu多層ナノワイヤーの電気抵抗値に及ぼす外部磁場の影響を調査した結果、外部磁場の増加に伴い、電気抵抗値が大幅に減少する積層界面垂直通電型の巨大磁気抵抗効果を確認した。特に、ナノワイヤーの直径が約70nmの試料において、最大約23.4%の巨大磁気抵抗効果が発現することを見出した。また、パルス電解時のCo層の再溶解を防止するために、Crを合金元素として添加したCo-Cr合金層を得るために、新たに、Co-Cr合金電析用の電解浴を開発した。グリシンを錯化剤として添加した結果、Co中にCrを約38.9%まで含有し、且つ、高硬度で強磁性状態を維持できることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、アルミナテンプレートの細孔径を35nm~130nmの範囲で変化させた条件において、直径の異なるCo/Cu多層ナノワイヤー配列素子の合成を試みた。その結果、透過型電子顕微鏡により、Co層(約14nm)とCu層(約1.5nm)が交互に積層されたCo/Cu多層ナノワイヤーを確認できた。更に、Co/Cu多層ナノワイヤーの巨大磁気抵抗効果が、ナノワイヤーの直径に依存することを見出した。直径が小さすぎると交互積層状態が維持できなくなり、また、直径が大きすぎるとCo層が多磁区構造となり、スピンバルブ効果を維持できなくなると推定した。特に、ナノワイヤーの直径が約70nmの試料において、最大約23.4%の巨大磁気抵抗効果が発現することを見出した。以上より、現在までの進捗状況はおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
電析金属ナノワイヤー配列素子は、Co層(約14nm)とCu層(約1.5nm)が交互に積層された構造を有していることが判明したので、今後は、Co層の耐食性を向上させる予定である。具体的には、Co層とCu層との積層界面状態の改善策として、Co層を合金化させる方針である。パルス電解時のCo再溶解抑制元素XとしてNi、Cr、Mo、W等を合金化させたCo-X/Cu系多層ナノワイヤー配列素子の合成にも取り組む予定である。
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Research Products
(8 results)