2018 Fiscal Year Annual Research Report
バイオフィルム環境の空間時間的定量イメージングによる微生物腐食機構の解明
Project/Area Number |
18H01755
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
川上 洋司 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90305615)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 昌也 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (20244634)
中西 猛 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (20422074)
辻 幸一 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (30241566)
有吉 欽吾 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (80381979)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 微生物腐食 / メタ遺伝子解析 / 蛍光X線分析 / 電気化学分析 / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオフィルム中の腐食性細菌と化学物質の定量的空間分布計測技術,および金属基板の腐食形態の定量評価技術を開発し,微生物腐食の速度論的評価を行うための実験システムの構築を目標として研究を進めた. 腐食性細菌の16S rRNA解析を行い,腐食性細菌のみを染色する蛍光DNAプローブを製作した.この蛍光DNAプローブの検証実験を行い,マルチカルチャー系バイオフィルム中での腐食性細菌の空間分布が定量的に評価できることを確認した.つづいて,溶接部を有するステンレス鋼を試験片とし,共焦点レーザー顕微鏡を用いたバイオフィルム-金属表面同時観察を行った.腐食性細菌はバイオフィルムの中に不均一に分布し,特に基板表面付近に腐食性細菌の密度が高い空間が存在した.バイオフィルムの体積は熱影響部および溶接金属部において大きかった.熱影響部と溶接金属部では腐食性細菌の密度が高い部分の下に孔食が生じていたが,母材部では腐食は認められなかった.これにより蛍光DNAプローブと共焦点レーザー顕微鏡を用いることによりバイオフィルム中での腐食性細菌の空間分布と腐食発生位置を関係づけることが可能であることが示された. バイオフィルム中の腐食促進化学物質空間分布の経時変化を定量的に可視化するための高感度高空間分解能化学物質測定システムの構築を構築した.3次元共焦点蛍光X線分析法により重元素の空間分布定量的可視化を行った.これにより,微生物腐食の進展による鋼板表面からのFeの水溶液中での溶出過程を可視化できることが示された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度の目標としていた課題のうち,バイオフィルム内での腐食性細菌の空間分布の可視化,バイオフィルム-金属表面同時観察,および重元素の空間分布定量的可視化については達成できたが,腐食形態の定量評価技術など,他の課題については達成されていない.
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度には個別に構築された計測・観察技術の統合を目指す.既知の腐食性細菌を含むマルチカルチャー系バイオフィルムを金属基板上に形成させる.このバイオフィルムを蛍光DNAプローブ染色し,バイフィルム中での腐食性細菌の空間分布を定量可視化する.さらに,バイオフィルムのメタ遺伝子解析を行いバイオフィルム中の菌叢を解析する.これらの分析を種々の進行段階の微生物腐食部に対して行いバイオフィルムの発生から腐食の進行にいたるバイオフィルム内の微生物群集構造の経時変化を数値化する.また,同様にバイオフィルムを対象とした蛍光X線分析と電気化学分析を行い,バイオフィルム内部の腐食促進化学物質の定量的空間分布の経時変化を観測する.これらの結果を走査型共焦点レーザー顕微鏡や走査型電子顕微鏡による腐食孔観察と電気化学的手法により定量化された腐食の経時変化と合わせて考察し,微生物腐食モニタリングシステムの構築を目指す.このシステムが構築されると,未知の腐食性細菌による微生物腐食の定量的モニタリングが可能となり,微生物腐食の速度論的評価が可能となる.
|
Research Products
(4 results)