2019 Fiscal Year Annual Research Report
Innovative production process of Ti and Si by electrolysis in molten CaCl2 at high temperature
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18H01763
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
竹中 俊英 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (60197324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森重 大樹 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (30530076)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | チタン / シリコン / アルミニウム / 溶融塩電解 / 塩化カルシウム / シャトル反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属Tiの電析に関して, 2018年度までの結果に基づき,2019年度はチタンの低級酸化物Ti2O3を用いた研究を主に行った.Ti2O3とCaOを不活性雰囲気中で焼結してチタン酸カルシウムを合成し,これを溶融CaCl2中に添加して電解を行った結果,これがある程度溶解可能であること,CaO/Ti2O3比が3の場合にのみ微少量の金属Tiの電析が可能であることを明らかにした.これらの結果から,金属Tiの電析が困難である最大の理由は,いわゆるシャトル反応の発生によるものと推論された.また,CaO/Ti2O3比が3で金属Ti電析が可能という結果は,TiO2を用いた実験において,CaO/TiO2比が1.5の場合にのみ金属Ti電析が可能であるという結果ともよく整合した. 金属Siの電析に関して,2018年度までの結果に基づき,2019年度はケイ酸カルシウムの種類,すなわちCaO/SiO2比が金属Si電析に及ぼす影響を検討した.CaO/SiO2比は金属Siの電析に影響を及ぼすものの,上記のTiの場合とは異なり,影響は顕著ではなく,広いCaO/SiO2比のケイ酸カルシウムを用いて金属Siが電析可能であることを明らかにした.現在のところ電流効率は約30%であり,より効率的な電解条件の検討が必要であることがわかった.さらに, Siの融点以上の温度では,球状の金属Siが得られ,液体金属Siを直接電析の可能性があることを明らかにした. 2019年度は,金属Alの電析に関する研究に本格的に着手し,溶融CaCl2中にアルミン酸カルシウムが溶解可能で,金属Alができることを明らかにした.また,用いるアルミン酸カルシウムの種類,すなわちCaO/Al2O3比は金属Alの電析に顕著な影響を及ぼさないことを明らかにした.また,陰極材料の選定が大きな課題であることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チタン電解に関して,ほぼ計画通りの研究成果をあげることができた.低級酸化物(Ti2O3)を用いて詳しい検討を行い,大きな課題としてあげていた金属Tiの電析が困難な主な理由を明らかにすることができた.すなわち,金属Tiの電析が困難な主な理由は,いわゆるシャトル反応の影響によるものであり,金属Tiを電析させるためには,シャトル反応の抑制が必要であり,その手法を見いだすことが今後の課題であることがわかった. シリコン電解についても,ほぼ計画通りの研究成果をあげることができた.金属Siが電析可能な電析条件について検討し,まだまだ十分ではないものの,電流効率約30%を達成した.また,金属Siの融点以上の温度で液体金属Siの直接電析の可能性があることを明らかにした. アルミニウム電解についても,ほぼ計画通りの研究成果をあげることができた.アルミン酸カルシウムの種類,すなわちCaO/Al2O3比はAl電析に影響するものの,影響は顕著ではないことを明らかにし,提案する方法による金属Alの電解製造が可能であることを示した.また,陰極材料の選定が重要な課題であることを明らかにできた. 上記のように,2019年度は,ほぼ当初の研究計画通りの研究を遂行することができ,2020年度以降の研究の指針を得ることができた.金属Siと金属Alの電析については,かなり期待できる成果をあげることができ,2020年度以降,より効率的な電析に向けての研究指針が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
金属Si,金属Alの電析については,これまでの研究成果に基づき,より効率的な金属電析が可能な電解条件等の特定に向けた検討を主に行う.金属Si電析については,金属Siの融点以上の温度での電解を主に検討し,液滴状の金属Siを得ることを目的に研究を進める.金属Al電析においては,これまでの研究で陰極材料によって電析状態が変化することがわかった.その理由として,電析過電圧,および陰極材料の濡れが関係しているものと考えている.2020年度はこれらの点に着目した研究を行い.効率的な金属Al電析を試みる. 金属Tiの電析が困難なことは,シャトル反応による影響が主な理由であることがわかった.2020年度は,シャトル反応を抑制可能な手法について検討する.また,CaO/TiO2比1.5(CaO/Ti2O3比3)でのみ金属Tiが電析可能である理由は未だに明確ではないが,酸塩化物の形成が関与している可能性があると考えている.酸塩化物の形成が金属Tiの電析に影響を及ぼしている可能性について検討するため,酸塩化物が安定であるとされる希土類元素(RE)について検討を行う.すなわち,CaOとRE2O3を溶融CaCl2に添加し,CaO/ RE2O3比,およびRE2O3濃度がREの電極挙動に及ぼす影響を検討する.その結果を,Ti電析の結果と比較することにより,Ti電解に及ぼす酸塩化物形成の影響を明らかにする.
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Research Products
(4 results)