2019 Fiscal Year Annual Research Report
アニオンドープによりサブナノ空間を精密制御した新規シリカ系分子ふるい膜の創製
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18H01768
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金指 正言 広島大学, 工学研究科, 准教授 (10467764)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アモルファスシリカ / 分離膜 / サブナノ空間 / 分子ふるい / 透過特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,アニオンであるフッ素を用いシリカネットワークをチューニングすることで,目的分離対象に応じてネットワークサイズをtailor-madeした新規シリカ系分子ふるい膜を創製する。研究計画は3年を予定しており,ゾル調製,膜厚制御,製膜,気体/液体透過特性評価,特性評価(TEM,EDX,XRD,PALS,FTIR,窒素吸着など)を計画的に研究遂行する。これまでに,添加分率,フッ素源や溶媒種依存性について検討した。フッ素をドープするとシリカのゾル成長速度が大幅に増加することが明らかになり,分子ふるい膜作製のために必要な数ナノレベルのゾルを調製するためには,Si濃度を制御することが有用であった。XPSでドープしたフッ素の存在形態を評価した結果,シリカにドープしたケースではSi-F基として,オルガノシリカにドープした場合はSi-F基とCF基としてネットワークに取り込まれる可能性が明らかになった。 上記で調製したゾルを用いて多孔質支持体上に分離膜を製膜した。Si源によらずcrack-freeで薄膜製膜が可能であった。フッ素系シリカ膜は,ネットワーク構造におけるSi-OH基密度が従来のシリカ膜よりも小さいため,焼成によるSi-OH基の縮合反応が生じにくいことが明らかになった。これにより,高温(750℃)で焼成後もルースな構造形成が可能であった。また,膜の細孔径はネットワーク構造におけるF濃度が高くなる程大きくなる傾向があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,アニオンであるフッ素を用いシリカネットワークをチューニングすることで,目的分離対象に応じてネットワークサイズをtailor-madeした新規シリカ系分子ふるい膜を創製する。研究計画は3年を予定しており,ゾル調製,膜厚制御,製膜,気体/液体透過特性評価,特性評価(TEM,EDX,XRD,PALS,FTIR,窒素吸着など)を計画的に研究遂行する。 これまでに,アニオンドープシリカゾル調製条件について検討し,フッ素をドープするとシリカのゾル成長速度が大幅に増加することが明らかになり,分子ふるい膜作製のために必要な数ナノレベルのゾルを調製するためには,Si濃度を制御することが有用であった。これにより,crack-freeで薄膜な分離層の作製が可能になった。また,フッ素系シリカ膜は,ネットワーク構造におけるSi-OH基密度が従来のシリカ膜よりも小さいため,焼成によるSi-OH基の縮合反応が生じず,高温(750℃)で焼成後もルースな構造形成が可能であった。 以上の研究成果より,フッ素ドープによる細孔径制御の可能性が示されたため,概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
Si原子間に有機基を有するオルガノシリカにフッ素をドープした場合は,Si-F基とCF基としてネットワークに取り込まれる可能性が明らかになっているが,ネットワークサイズに及ぼす影響は明確になっていないため,気体透過測定装置を用い,分子サイズの異なる気体透過率の分子径依存性,温度依存性,圧力依存性を詳細に検討する。オルガノシリカを用いた場合,従来のシリカ膜よりもネットワークサイズがルースであるため,フッ素をドープしたオルガノシリカ膜の細孔径が,サブナノレベルより大きく気体分子に対して分子篩性が発現しない場合は,より大きな分離対象である液相系の分離特性を評価するなど,適宜透過特性評価法を変更する。また,アニオンドープがアモルファス構造の空隙サイズ,動径分布などに及ぼす影響について評価する。
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