2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a novel synthesis process for next-generation Lithium-ion battery
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18H01769
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
綿野 哲 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40240535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲村 英也 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00584426)
大崎 修司 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40802426)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 全固体リチウムイオン2次電池 / 液相合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ナノサイズ固体電解質の液相合成、および活物質と固体電解質の液相複合化に焦点を当て、各工程におけるカギとなる物理化学現象を解明すると共に、複合粒子材料の新規合成プロセスを構築する。2018年度の研究実績は以下の通りである。 原料であるLi2SとP2S5から、液相加振法によって固体電解質(LPS)を合成した。ここで、LPSは①溶媒に分散したLi2S/P2S5粉末がわずかに溶解、②溶解した原料分子と溶媒分子が錯体形成、③LPS前駆体が析出、の3段階を経て合成される。ここで、原料であるLi2Sを粉砕処理することで、異なる溶解速度の原料を調整した。粉砕には、遊星ボールミルを使用し、処理条件によりLi2S粒子のサイズ制御が可能であることを確認した。また、異なる粒子サイズの原料を用いてLPS合成を行ったところ、得られるLPSの粒子サイズは原料のLi2Sサイズに強く依存することを見出した。すなわち、LPS粒子合成過程において、原料であるLi2Sの溶媒への溶解速度がキーであることを明らかにした。 湿式法で固体電解質を合成し、これをそのまま分散媒中で電極活物質表面に機械的外力によりコーティングするプロセスを提案した。はじめに、提案したコーティングプロセスと従来プロセスの比較を行った。次に、湿式コーティングプロセスにおける、分散媒及び被覆粒子の種類が電池性能に与える影響について検討を行った。その結果、湿式法により合成した固体電解質前駆体懸濁液に正極活物質を加えて、そのまま懸濁液中でコーティングを行うことで、正極活物質の表面が固体電解質で被覆されたコーティング粒子を得ることに成功した。更に、酸化物固体電解質でコーティングされた正極活物質を用いることで、熱処理時に生成する不純物層を抑制でき、十分な容量を有する全固体電池を作製可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LPSの合成過程における重要となる段階は、原料Li2Sの溶媒への溶解速度であることを見出した。これは、LPS粒子生成過程における結晶構造の経時変化(XRD、ラマン分光)の測定結果にも基づいており、当初の計画通りに研究が進んでいる。また、LPS粒子のサイズ制御には、原料であるLi2Sのサイズ制御が重要であることを見出し、この結果は次年度研究を遂行する上で重要な知見である。これらの成果は、目標達成へと直結する重要なものであり、おおむね順調に進展しているといえる。 液相加振法により合成したミクロンサイズの固体電解質前駆体懸濁液に正極活物質を加えて、前混合した後、湿式衝撃式複合装置を用いて、懸濁液中で正極活物質を固体電解質前駆体でコーティングした。その結果、固体電解質を表面に固定化することに成功した。得られた複合粒子の電池性能を評価したところ、十分な性能を認めることができた。以上より、計画通り進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、LPSの粒子サイズ制御を試みる。2018年度に得られた成果を踏まえて、原料であるLi2Sの粒子サイズに着目する。粉砕法のみでなく、分級、貧溶媒析出法や蒸発法を用いて、異なるサイズのLi2S粒子を調製する。得られた粒子を用いて、液相加振法によりLPSを合成し、粒子サイズ制御を目指す。このとき、得られたLPSの粒子サイズ評価のみでなく、XRDやラマン分光法による構造解析と、交流インピーダンス測定による導電性を確認し、従来法で得られるLPSとの性能評価を比較する予定である。 さらに、2018年度の成果より、液相で固体電解質を活物質に固定化することができたものの、活物質表面が機械的なダメージを受けていることが示唆された。この結果を踏まえて、今後は、低い機械的エネルギーでも固体化できるように複合化プロセスを最適化する。また、固体電解質原料であるLi2Sを予め乾式でコーティングした上で、液相中でこれをLPSへと合成する新しい液相複合化プロセスも検討する予定である。
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