2018 Fiscal Year Annual Research Report
Photocatalytic organic synthesis on metal nanoparticles/semiconductor heterojunction
Project/Area Number |
18H01779
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平井 隆之 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 教授 (80208800)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プラズモン / 金属ナノ粒子 / 半導体 / 光触媒 / 可視光 / 電子注入 / ファインケミカル / 相界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属ナノ粒子/半導体ヘテロ相界面光触媒により、ナノ粒子のプラズモン光吸収に基づいてファインケミカルを合成する新技術を開発する。本研究では、強接合ヘテロ相界面触媒を開発し、ホットエレクトロンの高効率生成を実現する。さらに、コアシェルナノ粒子触媒を開発して可視光応答性の向上を図るほか、合金ナノ粒子触媒の開発によりナノ粒子表面に酸化サイトおよび還元サイトを形成させ、様々な物質変換へ展開する。これらの検討を通して、可視光照射下で有機合成を進める新光触媒を開発する。 平成30年度は、強接合ヘテロ相界面触媒の開発に取り組んだ。Auナノ粒子固定化TiO2(Au/TiO2)プラズモン光触媒に可視光を照射すると、Auナノ粒子上で光励起したホットエレクトロンがTiO2の伝導帯に注入されて電荷分離し、酸化・還元反応を進める。活性のさらなる向上を目的とし、ルイス酸性の5価のNb5+酸化物をAu-TiO2界面にドープしたAu/Nb5+/TiO2光触媒を合成した。その結果、本触媒は可視光照射下で、Au/TiO2よりも極めて高い効率でアルコールの酸素酸化反応を進めることを見出した。Au/Nb5+/TiO2触媒の高活性発現は、Auナノ粒子上で生成したホットエレクトロンが、Au-TiO2間の電子移動を阻害するショットキーバリアを通り抜ける「量子トンネル効果」により効率よく注入されることによる。Au/Nb5+/TiO2では、Au-TiO2界面に存在するルイス酸性の単核Nb5+酸化物により、界面近傍のTiO2は強い正電荷を帯びる。この正電荷がAuナノ粒子の負電荷を相殺することにより狭いショットキーバリアを形成し、量子トンネル効果による電子注入を促進することを種々の分光分析により明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nb5+をドープしたAu/Nb5+/TiO2により可視光酸素酸化反応を効率よく進行させることが可能であることを明らかにした。半導体酸化物上でのナノ粒子の機能に関する知見が蓄積されてきており、今後の研究課題を順調にクリアできる感触を得ている。それゆえ、区分②に該当すると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、Pt、AuおよびPdナノ粒子の光触媒特性を明らかにしてきたため、これらの知見は多く蓄積されてきている。特に、Au/TiO2界面へのルイス酸点のドープにより高い活性が発現することを明らかにしている。このような性質をうまく使うことにより、新たな性質を発現する可能性が極めて高い。これらの新規光触媒に関する基礎解析を行った上、物質変換反応への展開を図る。
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