2019 Fiscal Year Annual Research Report
Photocatalytic organic synthesis on metal nanoparticles/semiconductor heterojunction
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18H01779
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平井 隆之 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 教授 (80208800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 康浩 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 准教授 (70343259)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光触媒 / 金属ナノ粒子 / 半導体酸化物 / 有機合成 / 白金 / 金 / 銀 / 可視光 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属ナノ粒子/半導体ヘテロ相界面光触媒により、ナノ粒子のプラズモン光吸収に基づいてファインケミカルを合成する新技術を開発する。本研究では、強接合ヘテロ相界面触媒を開発し、ホットエレクトロンの高効率生成を実現する。さらに、コアシェルナノ粒子触媒を開発して可視光応答性の向上を図るほか、合金ナノ粒子触媒の開発によりナノ粒子表面に酸化サイトおよび還元サイトを形成させ、様々な物質変換へ展開する。これらの検討を通して、可視光照射下で有機合成を進める新光触媒を開発する。 令和元年度は、Auナノ粒子をAgCl半導体に担持したAu/AgCl触媒を開発した。本触媒を塩化物イオンを含む水溶液に懸濁させて空気存在下で可視光を照射すると、Auのプラズモン吸収により生成した正孔がAgCl骨格の塩化物イオンを酸化することにより次亜塩素酸(HClO)を生成することを見出した。脱離した骨格の塩化物イオンは、溶液中の塩化物イオンにより補われることにより触媒サイクルが回転する。塩化物イオンの酸素酸化により次亜塩素酸を生成する反応は反応の自由エネルギー変化が正の値をとる人工光合成反応である。本反応における次亜塩素酸生成の太陽エネルギー変換効率は0.2%であり、一般植物の天然光合成(0.1%)を上回る効率で反応が進行する。なお、紫外線(<400 nm)を照射した場合には、生成した次亜塩素酸が紫外光を吸収することにより分解されるため、可視光(>400 nm)を照射することが効率のよい次亜塩素酸生成に重要であることが分かった。また、海水を用いた場合にも効率よく次亜塩素酸が生成し、海水から殺菌試薬として重要な次亜塩素酸を合成できる可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Au/AgClプラズモン光触媒により、Auの可視光吸収により生成したホールにより半導体上のアニオンを酸化できることを明らかにできた。生成した正電荷・負電荷の移動に関する知見が蓄積されてきており、今後の研究課題を順調にクリアできる感触を得ている。それゆえ、区分②に該当すると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、Pt、Au、AgおよびPdナノ粒子の光触媒特性を明らかにしてきたため、これらの知見は多く蓄積されてきている。特に、Au/半導体界面の電荷移動に関する知見を蓄積している。これらの性質をうまく使うことにより、新たな性質を発現する可能性が極めて高い。これらの新規光触媒に関する基礎解析を行った上、物質変換反応への展開を図る。
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