2020 Fiscal Year Annual Research Report
非極性基の相互作用を利用したセルロース・キチンの触媒的分解
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18H01781
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 広和 北海道大学, 触媒科学研究所, 助教 (30545968)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | バイオマス / 触媒 / セルロース / キチン / メカノキャタリシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究目的として、まず、ボールミルの機械的な力を用いた炭素触媒によるキチンの加水分解について、その作用機構を明らかにすることを挙げた。これに対し、表面弱酸点の量を変えた炭素、非常に弱い酸点しかないが炭素と同様にCH-π相互作用でキチンを吸着する六方晶窒化ホウ素、そしてCH-π相互作用が期待できない酸点を持つ酸化物との比較を行った。その結果、表面に弱酸点を持つ炭素が圧倒的に高い活性を示し、窒化ホウ素が若干活性を示した。これらの結果から、CH-π相互作用によってキチンを吸着し、弱酸点によって加水分解する機構を提案した。 次に、機械的な力が働く機構を明らかにすることを目的に挙げた。そこで、反応機構を一般に拡張し、ボールミルでのボールの運動・衝突のシミュレーションを行い、局所的に発生する引張・圧縮応力を算出し、これを分子に適用した際の影響を量子計算により調べた。その結果、ボールミル処理で強い圧縮応力が発生し、セルロースやキチン分子は圧縮されることにより、グリコシド結合切断の遷移状態が相対的に安定化され、加水分解を受けやすくなることが明らかになった。これは、従来考えられていた張力による活性化とは別の機構である。 最後に、セルロースとキチンのモノマーからの化学品合成を研究項目として挙げた。特に、従来超強酸が必要であったN-アセチルグルコサミンからのアミドアルコール合成を弱酸で実現することを課題とした。これに対し、報告者らは亜リン酸が本反応を特異的に促進することを見出し、質量分析、NMRならびにDFT計算によりその機構を明らかにした。さらに、N-アセチルグルコサミンを脱水して3-アセトアミド5-アセチルフランを合成する反応に関し、従来にスケールアップや生成物精製が困難な方法が用いられていたが、報告者らは塩化アルミニウム水和物を触媒に用いた簡便な合成法、そして精製方法を開発した。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Remarks |
触媒学会奨励賞「触媒法によるキチンの解重合と含窒素化合物合成」(2020年3月26日)
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Research Products
(16 results)