2018 Fiscal Year Annual Research Report
Selective dehydration of diols catalyzed by crystalline composite oxides
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18H01784
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 智司 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (30187190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 泰弘 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (90546780)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 結晶性複合酸化物 / 選択脱水反応 / ジオール / 不飽和アルコール / ブタジエン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、バイオマス由来のブタンジオール類を選択的に脱水させ、効率的にブタジエンへ誘導するための触媒として、結晶性複合酸化物を触媒ターゲットにした研究を展開した。ブタジエンをブタンジオール類から選択的に生成するためには、効率的に中間体の不飽和アルコールを経由する必要がある。そのため、特定結晶面を表面に有する結晶性複合酸化物を触媒として用いることに着目した。 結晶性複合酸化物として、当初、立方晶ビクシバイト型のYbFexMnyOz複合酸化物を想定して、研究を進めていた。YbFexMnyOz複合酸化物もある程度の選択性を有していることを確認したが、これまでに研究室で開発してきたZrO2系触媒の選択性を上回ることができなかった。そこで、この立方晶YbFexMnyOzの構成元素であるFeとMnをZrで置換させた触媒を検討した結果、立方晶フルオライト型Yb2Zr2O7触媒が、1,3-ブタンジオールの脱水反応において不飽和アルコールの優れた選択性を示すことを見出した。フルオライト型Yb2Zr2O7触媒は、同じ立方晶ながら規則正しい酸素欠損点を表面に露出するビクシバイト型のYbFexMnyOzと異なり、表面酸素の1/8がランダムな位置に酸素欠損点を有する欠損型のフルオライトであることが判明した。 今回幸運にも、ジオール類の選択脱水反応に対して不飽和アルコール選択性の高い欠損型フルオライトYb2Zr2O7触媒がこれまでの触媒性能を凌駕する活性・選択性を示したことから、構成元素をYb以外の希土類元素で置換することで、さらなる触媒性能の向上が期待でされる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、ビクシバイト型YbFexMnyOz複合酸化物が期待したほどの不飽和アルコール選択性を示さなかったことから、研究推進の方向性を修正する必要が生じたが、代替で検討した、立方晶YbFexMnyOzの構成元素であるFeとMnをZrで置換させたフルオライト型Yb2Zr2O7触媒が思いのほか高い活性と選択性を示した。課題初年度の研究成果としては、今度の計画を大きく修正することなく進展できることからおおむね純情に進展しているを評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初想定していた、立方晶ビクシバイト型のYbFexMnyOz複合酸化物はある程度の不飽和アルコール選択性を有していることを確認したが、既報で示されているZrO2系触媒よりもやや劣ることがわかり、この段階でYbFexMnyOzの構成元素であるFeとMnをZrで置換させることを検討した結果、立方晶フルオライト型を有するYb2Zr2O7触媒が、1,3-ブタンジオールの脱水反応において不飽和アルコールの優れた選択性を示すことを見出した。 今後、Yb2Zr2O7の構成元素をYb以外の希土類元素で置換することで、さらなる触媒性能の向上が期待できるため、1,3-ブタンジオール以外に、1,4-および2,3-ブタンジオールの選択脱水反応に対しても、Ln2Zr2O7触媒(Ln:希土類元素)の触媒活性を調査していく予定である。Ln2Zr2O7触媒は置換Ln元素に種類によって構造が構成元素をYb以外の希土類元素で置換した立方晶欠損型フルオライト型からパイロクロア型に転移することも報告されているため、複合酸化物の構造と触媒性能との関係を系統的に調査する予定である。 また、新規Ln2Zr2O7触媒の表面に酸素欠損点が存在する可能性が高いため、TEMによる表面観察を行うと同時に、今年度消耗品費で購入予定のPCで量子化学計算に基づく結晶学的検討を行う予定である。
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Research Products
(4 results)